看護師にとって電子カルテが難しい理由と効率的な使い方のコツ
病院や医療施設で働く看護師にとって、電子カルテは今や欠かせないツールです。
しかし、「操作が難しい」「入力に時間がかかる」と感じる看護師も多いのが現状です。 一方で、電子カルテは医療の質を向上させるポテンシャルを持つ便利なツールでもあります。
本記事では、電子カルテの操作が難しい理由に迫り、その背景や解決のヒントを探ります。
- 電子カルテ自体に関心がある医療従事者の方
- 日々の記録をもっと便利に進めたい看護師の方
電子カルテの操作はなぜ難しいのか
1. 複雑な操作画面
多くの電子カルテは、医師・看護師・薬剤師など院内の多くの職種が同じものを利用するため、非常に多機能です。
これにより、
- 情報量が多すぎて迷いやすい
- ボタンやメニューの配置が直感的でなく、必要な情報を探すのに時間がかかる
- 新採用者の研修に時間がかかる
といった問題が起こりがちです。
2 操作に慣れるまでに時間がかかる
紙のカルテから電子カルテに移行すると、使い方を覚えるために時間がかかります。また各社から出ている電子カルテシステムの操作感はそれぞれ異なるため、中途採用者はその都度使い方を覚える必要があります。 システムの移行を行う場合、同じプロセスを踏む必要があり、現場には大きな負担がかかります。
加えて特にITに不慣れなスタッフにとっては、操作の学習が負担に感じられることがあります。

3 システムの設計が現場のニーズと乖離している
電子カルテの設計は、医療現場で実際に使用する看護師や医師の声を十分に反映していない場合があります。これにより、以下のような問題が起こります。
- 実際の業務フローに合わない操作手順
- 必要な情報の入力が煩雑で、時間がかかる
いわば、業務フローにあわせた電子カルテというよりも「電子カルテにあわせた業務フロー」というイメージですね。
4 ネットワークや機器にボトルネックがある
「電子カルテが遅い!」というのもよく聞く声ではないでしょうか。電子カルテシステムを使いこなすという点以外においても、ハードやネットワークに問題があり「難しい」と感じることも。これはシステム自体の問題だけでなく、以下の要因も関係しています。
- 病院のネットワーク速度が遅い
- パソコンやタブレット端末の性能が低い
- 操作端末の数が足りず、順番待ちが発生する
電子カルテが今の形になった背景
1. 医療の複雑化に対応するため
医療現場では患者情報が多岐にわたります。 特に電子カルテは、診療記録・検査結果・投薬情報などを一元管理することを目的に作られています。 この結果、どうしてもシステムが複雑化しがちです。
2023年6月に健康保険法等が改正され、保険証の廃止・マイナ保険証への移行・オンライン資格確認の原則義務化など医療情報の有効活用のために法律が大きく舵を切りました[1]。このように法律に対応したシステムにしていくため、後付でシステムを導入したり、設定を変更したりと設計が自ずと複雑になっていきます。
2. 法規制や安全性の確保が優先されるため
1999年(平成11年)4月に当時の厚生省から「診療録等の電子媒体による保存について」が通知され、条件付きで診療録を電子保存することが認められるようになりました[2]。電子カルテには、名前・生年月日・病歴に至るまで個人情報が大量に格納されています。これらの医療情報は正確かつ安全に管理することが求められます。
そのため、セキュリティやデータ保存に関する規制を満たす設計が優先され、操作性が後回しにされることもあります。
3. 多職種での利用が前提であるため
医師・看護師・薬剤師・事務スタッフが同じシステムを利用するため、全ての職種に対応できる汎用的な設計になり、操作が複雑化しています。

3. 電子カルテを便利に使いこなすためのヒント
1. ショートカットやテンプレートの活用
電子カルテには、入力作業を効率化するためのショートカットキーや定型文のテンプレート機能が備わっていることが多いです。
これらを活用することで、操作時間を短縮できます。

2. 必要な機能に絞る
すべての機能を使いこなそうとせず、業務で頻繁に使用する機能に絞って操作方法を習得するのも良い方法です。
3. 定期的な研修の実施
電子カルテの操作に関する研修に参加することで、新たな使い方を学ぶことができます。特に、新しいアップデートに伴う機能変更への対応は重要です。
4. ITサポートチームへの相談
病院内にITサポートの専任スタッフがいる場合は、積極的に相談してみましょう。現場で抱える具体的な課題に応じた解決策を提案してくれる場合があります。
電子カルテの未来
2025年12月24日に開催された健康・医療・介護情報利活用検討会の「医療等情報利活用ワーキンググループ」で、2026年度の冬頃を目処に電子カルテ情報共有サービスの全国展開を目指すとの方針が了承されています[3]。厚生労働省が医療DXの推進に対して加算を算定するように進めていることから、機能進化の流れは必然ともいえます。
ここでは、現在登場している最先端技術をご紹介します。
- 音声入力の導入:看護師が患者ケアをしながら状況を音声で収録し、AIがその内容を参照の上記録を行うという音声入力機能の実用化が始まっています。
- AIの活用:患者の状態変化を予測するアルゴリズムが搭載され、医療従事者の意思決定を支援する仕組みが導入されつつあります。 医師の診療支援のみならず、看護師の退院サマリーなどもAIの活用が始まっています。
- クラウドベースのカルテで直感的なデザイン:シンプルでわかりやすいデザインの電子カルテも開発が進行中です。クラウドベースのカルテ開発も行われており、システムのアップデートがオンプレミスと比較し行いやすいこともメリットの1つです。
- 各種記録・問診票のDX化:看護師の入院時記録は記録のみならずサーベイランスの入力も必要になり、相当な時間と労力がかかっていることが判明しています。この膨大な労力を最大1/3削減するサービスがscree。看護師によって開発・運営がされています。

まとめ
電子カルテの操作が難しい背景には、多機能化・システム設計の課題・ITスキル不足など、さまざまな要因があります。
しかし、同時にこれらの課題を解決するための工夫や改善も進んでいます。 電子カルテを使いこなすためには、ショートカットやテンプレートを活用し、必要に応じてITサポートチームに相談するなどの工夫が有効です。 これからの電子カルテは、さらに使いやすく進化する可能性を秘めています。
今ある課題に向き合いながら、より便利で効率的な活用方法を見つけていきましょう。
看護師業務のIT化は、業務効率向上や負担軽減に寄与する可能性がある一方で、業務特性に適したアプローチが不可欠です。現場のニーズを理解し、適応性の高いシステムを導入することで、業務改善とIT化の両立を図ることが重要です。
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【参考・引用文献】




