看護師が行う入退院支援の具体的な業務内容|入院前から退院後まで段階別に解説
「入退院支援の業務って、具体的に何をするの?」
「病棟看護師として退院支援に関わっているけど、自分がやっていることが入退院支援として正しいのか自信が持てない」
そんな疑問を持つ看護師は少なくありません。
入退院支援は、患者が安心して入院生活を送り、退院後も安全に療養を継続できるよう環境を整える業務です。その範囲は入院前の情報収集から退院後のフォローアップまで広くわたり、「担当の人がやること」ではなく、患者に関わるすべての看護師が意識すべき視点でもあります。
本記事では、入退院支援の業務内容を「入院前・入院中・退院後」の3つのフェーズに分けて、現場での実践ポイントを交えながら解説します。
入退院支援における看護師の役割の全体像については「入退院支援における看護師の役割とは?求められる素質とキャリアパスを現役看護師が解説」をあわせてご覧ください。
- 入退院支援の業務内容を体系的に把握したい病棟看護師
- 入退院支援室・退院調整担当に異動したばかりの看護師
- 病棟の退院支援の質を底上げしたい看護師長・看護部長
- 入院前支援や退院後フォローの仕組みを整備したいと考えている管理職
入退院支援が「入院前から始まる」理由
かつての退院支援は、退院が近づいてから動き始めることが一般的でした。しかし2018年度の診療報酬改定で「退院支援加算」が「入退院支援加算」に名称変更され、入院前からの支援が正式に評価される体制へと移行しました(厚生労働省, 2018)。
これは単なる名称変更ではありません。入院前の段階から患者・家族の状況を把握し、退院後の生活まで見据えた支援を早期に開始することが、患者のQOL向上と再入院予防に直結するという考え方の転換を意味しています。

「退院が近づいたら考える」から「入院が決まった瞬間から考える」への意識の転換が、入退院支援の質を大きく左右します。
フェーズ1|入院前の支援
情報収集:「医療」だけでなく「生活」を見る
外来受診の時点で、入退院支援はすでに始まっています。把握すべき情報は病態・治療方針だけではありません。
収集すべき主な情報:
| カテゴリ | 確認内容の例 |
|---|---|
| 身体面 | ADL・認知機能・既往歴・服薬状況 |
| 生活面 | 自宅の構造・独居か否か・介護保険の有無 |
| 社会面 | キーパーソンの有無・家族の介護力・就労状況 |
| 心理面 | 入院・治療への不安・意思決定能力 |
特に重要なのは「入院によって生活がどう変わるか」という視点です。同じ疾患でも、独居の高齢者と家族サポートが充実している患者とでは、必要な支援の内容がまったく異なります。退院困難要因を早期に察知するアンテナを張ることが、この段階での看護師の最も重要な役割です。
情報提供:患者・家族の「見通し」をつくる
入院前に患者・家族が抱える不安の多くは「何がどうなるかわからない」という見通しの欠如から生まれます。
入院生活の流れ・手術・治療のスケジュール・持参品の準備など、具体的な情報を事前に提供することで、患者は入院後の生活をイメージしやすくなり、不安の軽減につながります。
説明は口頭だけでなく書面も活用し、家族も含めて理解できているかを確認することが大切です。
入院調整:関係者と連携しながらスケジュールを整える
手術・治療のスケジュール、事前検査、入院日の調整を医師・他職種と連携しながら進めます。
この段階での調整漏れは、入院後の混乱につながることがあるため、確認事項をリスト化し、抜け漏れのないよう管理することが求められます。
フェーズ2|入院中の支援
入院直後のアセスメント:48〜72時間以内が勝負
入院後の最初のアセスメントは、入退院支援加算の算定要件でも48〜72時間以内の実施が求められています。入院前に把握しきれなかった情報を補完し、退院支援の必要度と方向性を改めて確認します。
確認のポイント:
- 入院前の情報と現状に変化はないか
- 退院困難につながる要因(独居・認知症・要介護・緊急入院など)はあるか
- 患者・家族の退院に関する希望・意向はどうか
このアセスメントが早ければ早いほど、転院先や在宅サービスの調整に使える時間が増えます。とはいえ家族が遠方だったり、本人への聞き取りが難しかったりなど情報が不足するシーンは多くあるでしょう。
メディカルギークのscreeは問診票をIT化する入退院支援サービスですが、専用QRコード(URL)を使えば遠方在住の家族にも問診の回答やヒアリングを依頼できます。特にADLを落とさず施設へ戻ることや在宅復帰を見据える場合、いかに個別性を網羅して退院支援できるかは病棟看護師・退院調整看護師の大きな役割です。
ヒアリングの内容は完全にカスタマイズ可能で、電子カルテへの出力も可能です。
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退院準備の支援:入院中から「退院後」を考える
入院中の看護師の役割は、目の前の治療補助やケア提供だけではありません。退院後の生活を見据えた準備を並行して進めることが重要です。
退院準備に向けた主な業務
- 退院支援カンファレンスの調整:医師・リハビリ・MSW・ケアマネなど多職種が情報を共有し、退院の方向性と時期を検討する
- 退院先の調整:自宅復帰・施設入所・転院など、患者の状態と意向に合わせた選択肢を地域連携室と連携しながら調整する
- 介護保険の申請支援:未申請の場合は入院中に申請手続きを進め、退院後すぐにサービスを利用できるよう準備する
- 患者・家族への継続的な情報提供:退院後の生活に必要な知識(服薬・処置・緊急時の対応)を、タイミングを見ながら段階的に提供する
実際の事例を通じた支援の流れについては、「看護師が行う入退院支援とは?実際の事例をもとに支援の流れと介入のポイントを解説」もあわせてご覧ください。

日々のケアも「入退院支援」の一部
当たり前に行っている日常的なケア(清潔ケア・食事介助・リハビリの促しなど)も、ADLを維持し退院後の生活の質を守るという意味で、立派な入退院支援です。「患者の生活機能を守ること」を意識しながらケアを行うことが、退院支援の土台になっています。

フェーズ3|退院後の支援
退院時指導:「指導した」で終わらせない
退院時の指導は、単に説明して終わりではありません。患者・家族が実際に理解し、退院後に実践できるかを確認することがゴールです。
指導内容の例:
- 服薬管理(種類・タイミング・副作用の見極め方)
- 処置のセルフケア(創の観察・ドレーン管理など)
- 疾患の再発予防(生活上の注意点)
- 緊急時の判断基準と受診の目安
家族や身近なキーパーソンが同席できる場合は、その場で疑問を解消しておくことで、退院後の不安を最小限に抑えることができます。
在宅療養への連携:「調整役」としての役割
退院後の療養を支えるのは、病院の看護師だけではありません。訪問看護師・ケアマネージャー・かかりつけ医・介護施設スタッフなど、地域のさまざまな職種がバトンを受け取ります。
看護師はそのバトンを確実につなぐ「調整役」として、以下を担います。
- 訪問看護・訪問診療との情報連携(看護サマリーの作成・送付)
- 社会福祉サービスの調整(デイサービス・ヘルパーなど)
- 退院前カンファレンスへの関係者招集・調整
この連携の質が、患者の再入院リスクを左右します。

フォローアップ:退院後も「つながり続ける」
退院直後は、患者・家族ともに不安が高まりやすい時期です。外来受診時の状況確認・電話相談の対応・初回診察時のフォローなど、退院後も継続的な関わりが求められます。
「退院したら終わり」ではなく、退院後の生活が安定しているかどうかを確認し、必要であれば医師や地域の支援機関につなぐ判断をすることも、入退院支援における看護師の重要な役割です。

まとめ
入退院支援の業務は、入院前・入院中・退院後の3つのフェーズにわたって連続しています。各フェーズの主なポイントを整理します。
入院前
- 医療情報だけでなく「生活・社会面」の情報収集
- 患者・家族への具体的な情報提供で不安を軽減
- 入院調整の抜け漏れ防止
入院中
- 入院後48〜72時間以内の早期アセスメント
- 多職種と連携した退院支援カンファレンスの推進
- 退院後の生活を見据えたケアと準備の並行実施
退院後
- 「理解して実践できるか」を確認する退院時指導
- 地域の関係機関へのバトンをつなぐ連携・調整
- 退院直後のフォローアップと再入院予防
入退院支援に「担当者だけがやること」という境界線はありません。患者に関わるすべての看護師が、それぞれの立場でこの視点を持つことが、支援の質を高める最大の鍵です。
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参考資料
- 厚生労働省「平成30年度診療報酬改定の概要(入退院支援加算)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html - 国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)令和6(2024)年推計」
https://www.ipss.go.jp/pp-ajsetai/j/HPRJ2024/t-page.asp






