看護師による入退院支援はなぜ必要か|患者・現場・地域の3つの視点から解説
「入退院支援が大切なのはわかっている。でも、日々の業務に追われてなかなか力を入れられない」——そう感じている看護師・看護管理職は少なくないはずです。
入退院支援の重要性は制度的にも認められており、2018年度の診療報酬改定では「入退院支援加算」として評価される体制が整備されました。しかし、現場ではまだ「やれていない」「仕組みになっていない」という状況が続いているケースも多くあります。
では、入退院支援はなぜ必要なのか。本記事では患者・家族の視点、医療現場の視点、地域医療の視点という3つの角度から、その必要性と実践上の意義を整理します。「なぜやるのか」を言語化することで、現場での優先度が変わるかもしれません。
- 入退院支援の意義を改めて整理したい看護師・看護管理職
- スタッフへの「なぜ入退院支援が必要か」の説明に困っている看護師長・看護部長
- 入退院支援の強化を検討しているが、優先度をどう設定するか迷っている管理職
- 退院支援が形骸化していると感じており、立て直しのきっかけを探している方
入退院支援の現状
公益財団法人日本看護協会の調査によれば、看護師の離職理由の上位には一貫して「業務量の多さ」が挙げられており、入退院支援に割く時間的・精神的な余裕が生まれにくい構造があります(日本看護協会, 2023)。
さらに、入退院支援は「専任担当者がやること」と認識されがちで、病棟全体の文化として根づいていないケースも多く見られます。
しかし、入退院支援が十分に機能しないことのコストは小さくありません。再入院率の上昇、患者満足度の低下、退院調整の遅れによる病床稼働率への影響——これらはすべて、入退院支援の質と直結しています。

「やりたいけどできていない」状態を脱するには、まずその必要性を正確に理解することが出発点になります。
視点1|患者・家族の不安を軽減するために
入院という体験は、患者にとって日常からの大きな断絶です。生活リズムの変化、治療の見通しへの不安、家族への負担——これらが重なることで、治療への集中力が損なわれることも少なくありません。
退院時はさらに不安が複雑になります。「自宅で本当に大丈夫か」「次に何かあったときどうすればいいか」「介護サービスはどう使えばいいか」——こうした疑問を抱えたまま退院することが、再入院の大きなリスク因子になります。
看護師が早期から患者・家族の状況を把握し、適切な情報と支援を提供することで、この不安は大きく軽減できます。特に効果的なのが、入院前の段階から情報収集と説明を始めることです。
外来の時点で「入院後の生活をどうするか」を患者・家族と一緒に考え始めることで、本人の心理的準備が整い、入院後のケアへの理解と協力も得やすくなります。
メディカルギーク株式会社が提供する入院業務支援サービス「scree(スクリー)」は、この最大のボトルネックを解決するために開発されました。screeは、看護師が新規入院患者の情報を収集し、その情報を基に作成する各種帳票を効率的に作成できるサービスです。

screeの主な機能は?
- スマホでの事前入力機能
患者やご家族が、来院前に問診を自宅で入力できます。これにより、看護師の情報収集時間が大幅に削減されます。収集されたデータは構造化されて帳票作成・カルテへの連携もされるため、迅速かつ正確に記録を完成させることができます。 - リピーター入力自動機能
一度退院した患者が再入院した場合、前回の問診データや基礎情報を参照し、自動で入力できます。反復的な情報入力の負荷を完全に排除し、再入院時の記録時間を劇的に短縮します。これは、慢性期疾患の患者が多い施設や、入退院を繰り返す急性期病院において、記録時間の短縮に最も直接的に貢献する要素です。 - 自動帳票作成機能
収集された情報に基づき、アセスメントシートやスクリーニングシートといった必要な帳票を自動的に作成します。看護師は情報の転記や、帳票の作成にかかる時間をぐっと短縮することができます。
screeは単なる電子カルテの補助ツールではなく、統計的に証明された看護業務のボトルネック(情報収集の負荷)を根本的に解消するためのサービスです。

視点2|医療現場の効率化と業務の質向上
入退院支援は、患者へのケアだけでなく、医療現場そのものの効率にも直接影響します。
たとえば、外来の段階で「一人では手続きが困難な患者」を事前に把握できていれば、入院当日にサポートスタッフを配置できます。退院先の調整を入院直後から始めていれば、転院先や在宅サービスの確保に十分な時間をかけられます。逆に、これらが後手に回ると、退院が延期されたり、急いで調整するために担当者の負担が集中したりという事態が生じます。

入退院支援の質が上がることで生まれる現場へのメリットは、以下のように整理できます。
| 入退院支援が機能している場合 | 機能していない場合 |
|---|---|
| 退院困難要因を早期に把握・対応できる | 退院直前に問題が発覚し、対応が後手になる |
| 多職種が共通の情報をもとに動ける | 情報の共有漏れが多職種間の認識ズレを招く |
| 帳票・書類作成の手間が計画的に進む | 退院直前に書類作成が集中し、残業が増える |
| 病床回転率が安定する | 退院調整の遅れが入院待機の長期化につながる |
入退院支援は「患者のためになること」であると同時に、「現場の負担を減らすこと」でもある——この両面を管理職がスタッフに伝えることで、支援への取り組みに実感とモチベーションが生まれます。
視点3|地域医療との連携強化と再入院予防
入退院支援の目的は、「退院させること」ではありません。「退院後も安全に療養を継続できること=再入院を可能な限り防ぐこと」が本来のゴールです。
国立社会保障・人口問題研究所の2024年推計によれば、65歳以上男性の独居率は2050年には26.1%に達すると予測されています(国立社会保障・人口問題研究所, 2024)。家族によるサポートを前提にできない患者が増える中、地域の医療・介護資源との連携は、もはや「できればやる」ではなく「やらなければ患者の安全が守れない」レベルの重要課題になっています。

看護師が退院前から地域の関係機関(訪問看護・ケアマネージャー・かかりつけ医・介護施設など)と情報を共有し、退院後のケア体制を整えておくことで、再入院リスクは大きく下がります。
実際、退院後30日以内の再入院は「入院中の退院支援が不十分だったサイン」として捉えられることもあり、医療の質評価の指標としても注目されています。
地域連携の質を上げるには、病院から外へ渡す情報の精度と速度が鍵になります。看護サマリーや退院前カンファレンスの内容が整っていればいるほど、地域側の受け入れがスムーズになり、患者の生活の継続性が保たれます。
入退院支援を「文化」にするために
入退院支援がうまく機能している病院・病棟には、共通する特徴があります。
- 「早く動く」:退院困難要因が見えた時点で、すぐに多職種・地域連携室に共有する
- 「チームで動く」:担当者だけでなく、病棟全体で情報を持ち、動ける体制がある
- 「仕組みで支える」:個人の意識や努力だけに頼らず、情報収集・記録・連携のプロセスが整備されている
特に3つ目の「仕組み」は、文化形成の土台になります。どれだけ意識が高くても、手作業・口頭・紙ベースの情報収集が残っていると、人が変わるたびに質がブレてしまいます。
入退院支援の標準化と効率化を同時に実現するには、プロセスそのものをデザインし直すという視点が必要です。 情報収集の方法を見直し、患者・家族が自ら回答できる形にして、そこから帳票作成まで一気通貫で完結する仕組みを持つことが、現場の負担を下げながら支援の質を上げる現実的な道筋になります。

まとめ
看護師による入退院支援が必要な理由を、3つの視点から整理しました。
- 患者・家族の視点:入院前からの関わりが不安を軽減し、退院後の安全な生活につながる
- 医療現場の視点:早期介入と情報共有が業務の効率化・質向上・病床管理に直結する
- 地域医療の視点:退院後のケア体制を整えることが再入院予防と地域連携強化の鍵になる
そして、これらを実現するには「意識」だけでなく「仕組み」が不可欠です。情報収集から帳票作成までのプロセスを整えることが、持続可能な入退院支援の基盤になります。
メディカルギークは、入退院支援サービスをご提供しています。
特に、看護師の声から生まれた「scree(スクリー)」は、最も大きく時間を使う記録業務で入院時の情報収集から記録までを今よりも簡単にできるサービスです。
screeはただのITツールではありません。
- 病院の現場フローに即した、直感的なデザイン
- 病院ごとの帳票に合わせ、専門家が効率化させた個別カスタマイズ仕様
- 小児や周産期など、専門領域にも対応可能
- 看護師だけでなく他職種の記録業務も解決できる
看護師の経験を持つ担当者が貴院の課題を丁寧にヒアリングし、screeの導入がどのように貢献できるか、具体的な活用方法をご提案させていただきます。
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参考資料
- 厚生労働省「平成30年度診療報酬改定の概要(入退院支援加算)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html - 公益財団法人日本看護協会「2022年 病院看護実態調査」
https://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/research/97.pdf - 国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)令和6(2024)年推計」
https://www.ipss.go.jp/pp-ajsetai/j/HPRJ2024/t-page.asp






