看護師の働き方改革、何から始める? 現場を変える実践のポイント
「働き方改革が必要なのはわかってる。でも、うちの現場でどうやって進めればいいのか……」
看護部長や看護管理職のなかに、こうした本音を抱えている方は多いのではないでしょうか。医師の働き方改革が制度的に進む一方で、看護師の働き方改革は「現場の努力でなんとかする」という状態から抜け出せていない病院がまだ多いのが実情です。
しかし、他業種の働き方改革が証明しているのは「ITツールの導入が、労働環境を劇的に変えうる」という事実です。 製造業・金融・物流——これらの業界では、デジタル化によって長時間労働と人手不足を同時に解決した事例が相次いでいます。医療現場だけが、その波の外にいる理由はありません。
本記事では、看護師の働き方改革が必要な背景を整理したうえで、他業種の事例から学べること、そして医療現場で実際に活用できるITツールのアプローチを解説します。
- 看護師の働き方改革を進めたいが、具体的な手が打てていない看護部長・看護師長
- スタッフの離職が続いており、労働環境の改善が急務だと感じている管理職
- ITツールの導入に関心はあるが、何から始めればよいか迷っている医療機関の担当者
- 他業種の働き方改革の取り組みを医療現場に応用したいと考えている方
看護師の働き方改革、なぜ今なのか
働き方改革は、2016年の「働き方改革実行計画」を起点に、政府が全業種に向けて推進してきた労働環境改善の取り組みです。長時間労働の是正・同一労働同一賃金・柔軟な働き方の推進が三本柱とされています(厚生労働省, 2017)。
医療分野では、2024年4月から医師の時間外労働上限規制が適用され、「医師の働き方改革」は大きな注目を集めました。しかし、看護師に対する同等の制度的対応は、まだ十分とは言えません。
現場の数字を見てみましょう。公益財団法人日本看護協会の調査によれば、2022年度の病院における看護職員の離職率は常勤で11.6%(日本看護協会, 2023)。離職理由の上位には「夜勤・交代制勤務への負担」「業務量の多さ」が挙げられ続けています。

少子高齢化の進展により、今後さらに看護師不足が深刻化することは明らかです。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2040年には現在より約580万人の労働力が不足すると見込まれており(国立社会保障・人口問題研究所, 2023)、医療・介護分野はその最前線に位置します。
働き方を変えなければ、看護師は集まらない。集まらなければ、患者ケアの質が維持できない。 この構造的な危機に対応するために、看護師の働き方改革は「できれば進めたいこと」ではなく「やらなければ持続できないこと」になっています。
他業種が証明した「ITツールが働き方を変える」という事実

他業種での働き方改革において、最も大きな変化をもたらしたのがデジタルツールの活用です。
製造業・物流業では、ロボティクスとAIの導入によりルーティン作業を自動化し、人が判断・対応すべき業務に集中できる体制を構築。残業時間の削減と人材の有効活用を同時に実現した企業が増えています。
IT・金融業では、業務プロセスのデジタル化により、書類・承認・報告にかかっていた時間を大幅に削減。リモートワーク移行も加速し、「いつ・どこで働くか」の自由度が高まりました。
これらの業界で共通しているのは、「手作業・口頭・紙ベースの業務フローをデジタルに置き換えることで、時間と精度の両方を改善できた」という点です。
医療現場に目を向けると、電子カルテの普及など一部のデジタル化は進んでいます。しかし、「デジタルツールが入っているのに、業務フローは昔のまま」という状態が多くの現場で続いています。ツールが入ることより、業務の使い方が変わることのほうが、働き方改革の本質に近いのです。
看護師の働き方改革で実際に効果が出ている3つのアプローチ
アプローチ① タスクシフト・タスクシェアの推進
看護師が担っている業務のうち、他職種でも対応できるものを移行することで、看護師が専門的なケアに集中できる環境をつくります。厚生労働省も2023年度からタスク・シフト/シェアの推進を本格化させており、制度的な後押しも整いつつあります(厚生労働省, 2023)。
移行の候補になりやすい業務
- 物品の補充・管理 → 看護補助者
- 書類作成・記録補助 → 医療クラーク
- 患者の移送・環境整備 → 看護補助者・ポーター
- 採血・検査 → 臨床検査技師・診療放射線技師
ただし、タスクシフトは「業務を渡すだけ」では機能しません。移管先スタッフへの教育・役割の明文化・業務フローの再設計が必要であり、デジタルツールを活用して業務の見える化と標準化を進めることが、タスクシフトを円滑に進める土台になります。
石川県の浅ノ川総合病院では看護師から事務職員へ入院業務の移管を進めました。これは、メディカルギークのscreeを導入したことで入院時の問診など看護師以外でも対応できるように業務整理・タスクシフトの準備の一環として行われたものです。事例はこちら。

アプローチ② 業務フローの標準化・デジタル化
「人によってやり方が違う」「引き継ぎに時間がかかる」という状態は、個人の経験と記憶に依存した業務フローが残っているサインです。
手順書・チェックリスト・テンプレートの整備と、それをデジタルで運用する仕組みを導入することで、業務の品質が安定し、新人・異動者の立ち上がりも早くなります。
看護師の業務の中でも特に属人化・非効率化しやすいのが、入院前の患者情報収集です。
担当者によって聞く項目がバラバラ、口頭での聞き取り後に手入力という二度手間、記録の抜け漏れなど。すべて、情報収集の仕組みを整えることで解決できます。
患者・家族が事前にスマートフォンやタブレットで必要情報を入力し、その結果が記録・帳票に直結する仕組みを導入するだけで、この工程にかかる看護師の時間と認知負荷を大幅に削減できます。
アプローチ③ 勤務環境・シフト管理の柔軟化

リモートワークの導入が難しい医療現場でも、シフトの組み方・休暇の取りやすさ・短時間勤務の選択肢といった「勤務環境の柔軟性」は改善できます。
特に育児・介護中の看護師が離職を選ばずに働き続けられる環境を整えることは、即戦力の定着と採用コストの削減に直結します。シフト管理ツールの導入や、業務量の可視化による「特定スタッフへの集中」の解消も、この観点での重要な取り組みです。

「何から始めるか」に迷ったら
働き方改革を進めようとするとき、「何から手をつければいいか」で止まってしまうケースは多くあります。現場ごとに課題の優先度は異なりますが、スタートの判断基準として有効なのは「最も手間がかかっている繰り返し業務はどれか」を問うことです。
毎日・毎週発生する業務で、かつ手作業・確認・転記といった工程が多いものは、デジタル化による改善効果が最も大きくなります。
「ツールを入れればすべて解決する」という発想は危険ですが、「この工程だけでも仕組み化できれば、看護師の時間が〇時間/週 回収できる」という具体的な計算が立つと、管理職として上申・導入判断がしやすくなります。
まずは一つの業務フローを選び、「今の手順」と「デジタル化後の手順」を比較する——その小さな一歩が、現場の働き方を変える起点になります。

まとめ

看護師の働き方改革は、制度的な整備が遅れているからこそ、現場から仕組みを変えていくアプローチが重要です。
- 離職率11.6%・人手不足・2040年問題——現状を放置することのコストは年々大きくなっている
- 他業種が証明したとおり、ITツールによる業務フローのデジタル化は働き方を劇的に変えうる
- タスクシフト・業務標準化・勤務環境改善の3つが実践的なアプローチの柱
- 「最も手間のかかる繰り返し業務」から着手することが、最初の一手として現実的
看護師が働き続けられる環境をつくることは、患者への質の高いケアを守ることでもあります。「どこから手をつけるか」を決めることが、働き方改革の実質的なスタートラインです。
「人材確保が課題」
「業務改善どころではないが、業務改善しないと人も集まらない」
そのようにお考えの病院経営者様、看護部長様へ。
メディカルギークは、業務改善ソリューションをご提供しています。
特に、看護師の声から生まれた「scree(スクリー)」は、最も大きく時間を使う記録業務で入院時の情報収集から記録までを今よりも簡単にできるサービスです。
screeはただのITツールではありません。
- 病院の現場フローに即した、直感的なデザイン
- 病院ごとの帳票に合わせ、専門家が効率化させた個別カスタマイズ仕様
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- 看護師だけでなく他職種の記録業務も解決できる
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参考
- 厚生労働省「働き方改革実行計画」(2017年)https://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/index.html
- 厚生労働省「タスク・シフト/シェアの推進について」(2023年)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000095525_00010.html
- 公益財団法人日本看護協会「2022年 病院看護実態調査」https://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/research/97.pdf
- 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」https://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2023/pp_zenkoku2023.asp






