働き方改革

PNS看護方式とは?導入メリット・デメリットとIT活用で変わる未来 

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「看護師の仕事って、本当に大変!」そう感じている方は少なくないのではないでしょうか?  

日々、患者のケアはもちろん、書類作成、情報共有、新人指導…と、業務は山積み。気づけば、患者とじっくり向き合う時間が足りない!と感じることもあるかもしれません。 

そんな現代の医療現場で、看護師がもっとイキイキと働き、もっと質の高いケアを届けられるようにと注目されているのが「PNS(パートナーシップ・ナーシング・システム)」です。 

この記事では、この「PNS 看護方式」が一体どんなものなのか、他のやり方とどう違うのか、そして導入するとどんな良いことや課題があるのかを、分かりやすく解説していきます。さらに、ITツールが「PNS」の未来をどう変えるのか、その可能性にも迫ります。

この記事がおすすめな方 
  • PNSが始まることになり、仕組みをもっと知りたい看護師の方
  • PNSが始まったもののなんとなくモヤモヤが晴れない方
  • 働きやすい環境づくりのためにPNS以外の方法も必要かも?と感じる管理者の方

PNS(パートナーシップ・ナーシング・システム)ってどんな看護モデル?  

PNSは、2009年に福井大学医学部附属病院看護部が独自に開発した、日本発の看護提供方式です。その中核には、2人の看護師が良きパートナーとして協働し、安全で質の高い看護を共に提供することという理念があります[1]。 

PNSの大きな特徴は、看護師が対等な立場で、お互いの得意なことを活かしながら、足りない部分を補い合って仕事を進める点です。普段の看護ケアはもちろん、委員会活動や病棟内の担当業務まで、年間を通してペアで活動し、その成果と責任を分かち合います。また、主任看護師を中心としたグループの中に、それぞれのペアが入る形で機能することもあり、組織全体での協力がさらにスムーズに進むような仕組みも作られています。 

他の看護のやり方とPNSはどう違うの? 

PNSならではの良さをもっと知るために、他の代表的な看護の進め方と比べてみます。 

プライマリーナーシング(PN)との比較 

PNは1970年代にアメリカで考えられた方法で、1人の看護師が患者を入院から退院まで一貫して担当し、一人ひとりに合わせた丁寧な看護を提供します。 

患者との深い信頼関係を築けたり、きめ細やかなケアができたりする一方で、看護師個人の能力に左右されやすく、担当の看護師がいない時にケアの質がバラバラになってしまう心配もありました。 

これに対してPNSは、常に2人1組で協力するシステムです。PNが抱えていた「個人の能力に依存する」という課題を、「パートナーシップ」という形で解決しようとする、より今の時代に合ったアプローチと言えます。

PNSなら、一人ひとりの看護師の力を最大限に引き出しながら、パートナーが補い合うことで、ケアの質と安全をしっかり守ることができます。 

チームナーシングとの比較 

チームナーシングは、病棟の看護師をいくつかのチームに分け、チーム全体で患者を看る方法です[2]。

看護師は勤務時間帯ごとに担当する患者が変わることが一般的で、PNSのように特定のパートナーとずっと一緒に仕事をする関係性とは異なります。 

機能別看護方式との比較 

機能別看護方式は、バイタル測定、点滴、体を清潔にするケアなど、仕事の内容ごとに役割を分担する方法です[3]。この方法だと、看護師同士のコミュニケーションが取りにくくなったり、患者全体の様子を把握するのが難しくなったりする可能性があります。 

一方でPNSは、2人で患者のケア全体を担当するので、ただ仕事を分担するだけでなく、情報共有や連携がより密に行われます。 

PNSは、これらの看護のやり方の良いところを取り入れながら、今の医療現場が抱える課題に対応するために発展してきたシステムですね。 

PNSのメリットとデメリット 

PNSは、看護師、患者、そして病院経営のそれぞれにメリットとデメリットがあります。 

メリット 

看護師の視点 

PNSは、看護師の精神的・肉体的な負担を減らす効果があります。決まったパートナーが近くにいるので、急な状態変化の時など、予期せぬ状況でも協力しやすく、精神的な安心感が得られます。 

また、ベテラン看護師と新人看護師がペアを組むことで、新人看護師は実践を通して知識や技術を学ぶ機会が増え、安心して仕事に取り組むことができます。転職してきた新入職の看護師にとっても、新しい環境にスムーズに慣れるための良い仕組みと言えるでしょう[4]。 

日々の仕事を分担することで、毎日の業務が効率的になり、残業時間の削減につながったという報告もあります。 

患者の視点 

患者にとっては、安全性が高まり、大きな安心感につながります。2人の看護師が患者の状態をしっかり見てくれることで見落としが減り、質の高いケアを早く受けられるようになります。看護師に気軽に相談できる環境が整うことも、患者の満足度を上げる大切なポイントです。 

病院経営の視点 

PNSは、医療の質を保ち、さらに良くしていくことや、人材を育てることにも貢献します。看護ケアの質が安定し、新人や転職してきた方が長く働いてくれるようになることで、病院全体の看護レベルが底上げされることが期待できます。仕事が効率的になることは、看護師の働き方改革を後押しし、結果としてプライベートとのバランスが改善されたり、病院の魅力を高めたりすることにもつながります。 

デメリット 

人間関係と精神的な負担 

PNSの一番の強みである「パートナーシップ」は、同時に運用する上で一番大きな課題にもなり得ます。パートナーとの経験の差や、ケアの方針に関する意見の違いは、ストレスの原因になることがあります。二人で行うという特性上、責任の所在が不明瞭になってしまう場合も[5]。 

また、新人看護師がベテラン看護師に意見を言いにくいといった、立場が上の人との関係からくるコミュニケーションの問題も指摘されています。 

PNSがうまくいくかどうかは、人間関係に大きく左右される部分があるといえます。 

仕事の負担が偏る 

経験豊富なベテラン看護師に仕事の負担が集中し、疲弊する心配があります。 

反対に、早めに仕事を終えた看護師が、まだ終わっていないパートナーに対して不満を感じるというシーンも。 

これらにはスタッフ同士の仲が悪くなる可能性も指摘されています。 

記録が後回しになる 

「看護記録が後回しになってしまう」という指摘もあります。これは、PNS本来の目的である「協力し合って患者をケアすること」に集中しすぎることで、記録など本来時間内に終わらせたい事務作業が後回しになってしまうという、仕組み上の問題を示しています。 

PNSが抱えるこれらの課題は、単に「2人1組」という体制を取り入れるだけでなく、管理や業務効率化を仕事そのものの効率化も同時に求められていることを示唆しています。 

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表1:主要な看護方式の比較 

看護方式 担当単位 特徴 メリット デメリット 
パートナーシップ・ナーシング・システム(PNS) 2人1組のペア 看護師2人が対等な立場で協力し、成果と責任を共有 ・心理的・物理的負担の軽減  ・人間関係のストレス 
プライマリーナーシング(PN) 1人の看護師 1人の看護師が入院から退院まで患者を専任で担当 ・患者との深い信頼関係  ・看護師の経験や能力に依存 
チームナーシング チーム全体 チーム全体で患者を受け持つ ・担当者不在時もチームで対応 ・リーダーの負担が大きい 
機能別看護方式 業務内容ごと 業務(点滴、バイタル測定など)ごとに役割を分担 ・適性に応じた業務が可能 ・看護師間のコミュニケーション不足 

PNSが直面する課題 

今の医療現場は、慢性的な人手不足と看護師の仕事の負担が増えるという深刻な課題に直面しています。PNSは「決まったパートナーとの業務分担」で課題を解決する手段になり得ますが、それでもすべての課題を解決するには至らないのが実情です。 

PNSでは、パートナー間の密な情報共有が成功の鍵となります。しかし、その情報交換も紙か口頭ベースがほとんど。各チームの仕事の進み具合や患者の状態をリアルタイムで把握することができず、効率的な動きが難しくなります。 

ITツールを使った仕事の改善は、この現状を打破するための有効な手段として注目されています。記録といった事務作業を自動化・効率化し、看護師が持っている本来の能力を最大限に発揮できる環境を整える役割を果たすのです。 

実際に、入院業務の1/3の時間を削減した事例や、音声入力システムで看護記録の時間を短くした事例など、具体的な成果が報告されています[6][7]。テクノロジーが看護師の仕事を効率化し、本来の専門的な仕事に集中できる環境を作り出すことができる可能性を示しています。 

入院時の問診票・帳票をIT化!

看護師が抱える仕事上の課題を解決するソリューションの一つが、入院業務支援サービス「scree」です。 

screeは、入院時の情報収集から記録までを効率化し、看護師の負担を大きく減らすことを目指しています。 

screeが解決する具体的な課題は以下の通りです。 

手間のかかる入院業務を減らす 

これまでの紙や口頭で行われていた情報収集をタブレットでの問診入力に置き換え。時間と手間を大幅に減らします。 

書類作成を自動化

入院時に作る必要がある複数のシート類を、問診の項目から自動でまとめて作ります。これにより「看護記録が後回しになる」「担当看護師しかできない」という問題を直接的に解決します。 

情報が一つにまとまる・共有できる

タブレットに入力された情報は、進捗状況が見える化されています。これによりリアルタイムで患者の情報を共有できるようになり、「あれどこまでやった?」という確認のラリーを減らすことに繋がります。 

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scree 機能一覧
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PNSのさらなる進化とテクノロジーが担う役割

PNSは、看護師の心理的・物理的負担を軽減し、質の高いケアを提供する新しい看護提供方式です。しかし、その成功はパートナー間の人間関係に大きく左右されるという難しい側面を持っています。 

screeの導入は、PNSが「人の協力」に焦点を当てたシステムであるのに対し、「物」(情報)の効率の悪さを「テクノロジー」で解決する、人とテクノロジーの新しい「パートナーシップ」を築く試みと言えるでしょう。これにより、PNSは単なる仕事の体制から、さらに進化を遂げる可能性を秘めているのです。 

【参考・引用文献】

  1. https://www.hosp.u-fukui.ac.jp/kango/pns/ 
  2. https://koteti.com/chairmans_column/7%E6%9C%88-%E4%BC%9A%E9%95%B7%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%A0-2/ 
  3. https://www.almediaweb.jp/glossary/0184.html 
  4. https://www.tamagawa-nurse.com/about/pns/ 
  5. https://www.jstage.jst.go.jp/article/janap/23/1/23_168/_pdf/-char/ja 
  6. https://scree.jp/277/ 
  7. https://www.nurse.or.jp/nursing/home/publication/pdf/report/2022/awd_report2021.pdf 

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