看護教育

看護主任/主任看護師が育たない本当の理由とは?役割の高度化と「時間創出」の戦略的アプローチ 【看護管理者必見】

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「期待していた主任が、疲弊して辞めてしまった」 
「研修に行かせても、現場に戻ると日々の業務に追われて実践できていない」 

「主任が育たない。どのようにアプローチしたらいいのかわからない」 

日々の病棟運営において、このような悩みを抱えている看護部長や看護師長の方は少なくありません。 

現場を回しながら管理業務もこなす主任は、現場(スタッフ)と管理(師長)をつなぐ要であり、病棟の質を左右するキーパーソンです。 

しかし、多くの現場では「主任が育たない」「主任が疲弊している」といった悩みが尽きません。これは、昨今の医療現場において、主任にかかる負担が限界に達しつつあるという現状と無関係ではないでしょう。 

「本人のやる気がないから」「能力不足だから」と個人の資質に原因を求めていては、この問題は解決しません。なぜなら、多くのケースにおいて、主任が育たない原因は「構造的な時間不足」にあるからです。 

本記事では、厚生労働省や日本看護協会の資料、および先行研究等をもとに、主任に期待される役割や必要な能力、主任を取り巻く環境、主任に対する教育の現状と問題点を整理・分析します。

その上で、精神論ではなく、物理的に業務負担を減らして時間を生み出すための具体的な解決策を提示し、解説します。 

この記事がおすすめな方 
  • 主任がなかなか育たず、組織運営や後輩指導に課題を感じている看護管理者様 
  • 主任がプレイングマネジャーとして疲弊しており、離職やモチベーション低下を懸念している方 
  • 主任への教育を行いたいが、日々の業務に追われて指導する時間が確保できない看護師長様・看護部長様 
  • 主任の役割と必要な能力を改めて整理・再確認したい方 
  • 精神論ではなく、仕組みや環境整備によって現場の教育課題を解決したい方

主任に期待される役割と必要となる能力 

まず、主任の定義と期待される役割や必要となる能力について、日本看護協会の資料をもとに整理します。 

主任の立ち位置と役割 

主任は、一般的に「看護師長の補佐」と「現場スタッフのリーダー」という二つの顔を持ちます。日本看護協会が示す「看護実践能力習熟段階」においては、主にレベルⅢ相当の能力が求められています[1]。ここでは、「幅広い視野で予測的判断を持ち、ケアの受け手に合う最善の看護を実践できる」ことに加え、「リーダーシップを発揮し、ロールモデルとなる」ことが求められます。つまり、一人のプレイヤーとして優秀であるだけでなく、スタッフの指導・育成を行うため「他者を導く力が必須となる」のです。 

主任の4つの役割 

一般的に、主任には以下の4つの役割が期待されています(ⅰ, ⅱ)。 

  1. 看護管理の補佐:師長不在時に代行する、病棟目標の推進を図る、リスクマネジメントを行う 
  2. 教育・指導:スタッフの教育・指導を行う 
  3. 臨床実践のモデル:質の高い看護ケアを実践し、スタッフの模範(ロールモデル)となる 
  4. 調整・橋渡し:スタッフの意見を吸い上げ師長に伝える、組織の方針をスタッフに浸透させる「結節点」としての役割をとる、実習の受け入れに際し学生の学習環境の調整を行う
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看護管理を実践する際に必要となる6つの能力 

日本看護協会の病院看護管理者のマネジメントラダーでは、主任はⅠのレベルに相当/目安としており、「自部署の看護管理者とともに看護管理を実践できる」と、レベルの定義がされています。また、病院看護管理者が看護管理を実践する際に必要となる6つの能力を示しています[2]。 

能力 定義 
組織管理能力 組織の方針を実現するために資源を活用し、看護組織をつくる力 
質管理能力 患者の生命と生活、尊厳を尊重し、看護の質を組織として保証する力 
人材育成能力 将来を見据えて看護人材を組織的に育成、支援する力 
危機管理能力 予測されるリスクを回避し、安全を確保するとともに、危機的状況に陥った際に影響を最小限に抑える力 
政策立案能力 看護の質向上のために制度・政策を活用及び立案する力 
創造する能力 幅広い視野から組織の方向性を見出し、これまでにない新たなものを創り出そうと挑戦する力 

なぜ育たない?主任に対する教育内容と現場における教育の現状や問題点、主任を取り巻く環境 

主任には高度な役割が求められるため、病院側も教育プログラムを用意しています。しかし、その効果が現場で十分に発揮されていないのが実情です。 

看護主任に対する一般的な教育内容(カリキュラム) 

以下のような理論学習(Off-JT)があります[3]。 

  • ヘルスケアシステム論:社会保障制度、保健医療福祉サービスの提供体制、ヘルスケアサービスにおける看護の役割 
  • 組織管理論:組織マネジメント、看護実践における倫理 
  • 人材管理:労務管理の基礎知識、看護チームのマネジメント、人材育成の基礎知識 
  • 資源管理:経営資源と管理の基礎知識、看護実践における情報管理 
  • 質管理:看護サービスの質管理 

理論上は、これらの研修を受けることで主任は管理能力の知識を習得したはずです。そして、高い能力を持つ看護師を主任に任命したはずなのに、疲弊した上に主任として育っていかないのでしょうか。

そこには、個人の努力ではどうにもならない3つの構造的な問題が存在します。 

問題① 過酷な「プレイングマネジャー」状態  

多くの病院で、主任はリーダー業務、入院・退院・転棟に伴う調整業務や事務作業、夜勤、委員会活動、勤務表作成、スタッフ指導などをこなしながら、自身の受け持ち患者も看る「プレイングマネジャー」の状態です[4]。

「業務量の多さ」や「役割の多様さ」に直面しており、自身の担当患者のケア業務に追われる中で管理業務を行うことに困難さを感じています。

「自分の担当患者だけで手一杯」という状況下で、じっくりとスタッフを指導したり、病棟課題を分析したりする「物理的な時間」は残されていません。 

問題② 「サンドイッチ構造」による役割葛藤とバーンアウト 

主任は、師長(管理側)とスタッフ(現場側)の間に位置する中間管理職です。この立場は、双方からの相反する要求に晒される「サンドイッチ構造」となりやすく、強い「役割葛藤」を生みます。 

こうした役割葛藤や過度な業務負荷は、バーンアウト(燃え尽き症候群)に有意に関連することが明らかになっています[5]。 
「現場を守りたい」という思いと「組織の方針を守らなければならない」という立場の間で悩み、メンタルヘルス不調をきたすケースも少なくありません。 

問題③ 「OJT」の限界、フォロー不足 

もう一つの深刻な問題は、主任自身の教育環境です。 
看護師長自身も多忙を極めているため、主任に対する教育は、どうしても「看護師長の背中を見て覚える」というOJT(On-the-Job Training)や「主任自身の自己啓発」に偏りがちです。

実際、多くの看護師長が「業務が多忙で育成に関わる時間が取れない」と悩んでおり、看護主任への教育的関わりが「役割モデルを示す」「業務を通じた助言」といったOJT中心にならざるを得ない実態があります[6][7][8]。 

体系的なマネジメント教育を受ける機会がないまま責任だけが増していく。「正解がわからないまま走っている」という不安感は、主任の自信喪失を招き、主任個人の資質によってマネジメントの質にバラつきが生じてしまいます。 

「時間」を生み出すための「業務効率化」という視点へ 

ここまで見てきたように、主任が育たない原因は「本人の能力不足」ではなく、「業務過多による時間的・精神的な余裕の欠如」にあります。 

「もっと意識を高く持て」といった精神論での指導は逆効果です。 
今、看護管理者が取り組むべきは、物理的に業務時間を削減し、主任が本来の役割(管理・教育)に向き合える「ゆとり」を作ることです。 

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特に、経験豊富な主任クラスの時間を大きく奪っている業務の一つに、入院時の「患者情報の収集(アナムネ・スクリーニング)やそれに伴う事務作業」があります(ⅸ)。 
複雑な病態の患者が入院する場合、「新人では聞き漏らしが怖いから」と主任やベテラン看護師が対応し、入院1件あたり数十分から数時間を費やすことも珍しくありません。 

DXで時間を生み出す「scree(スクリー)」 

現場の負担を劇的に軽減し、この「時間不足」というボトルネックを解消する具体的な手段として、今回はメディカルギーク株式会社の「scree(スクリー)」をご紹介します[9]。   

screeは、タブレットやスマートフォンを活用し、入院時の問診や情報収集業務を効率化・標準化する医療機関向けのWebサービスです。 

なぜ「scree」が看護主任の育成につながるのか? 

理由1:業務時間の大幅短縮による「ゆとり」の創出 

screeを導入した浅ノ川総合病院様の事例では、入院業務にかかる時間が1件あたり最大40分短縮されたという実績があります[10]。 
この「浮いた40分」の積み重ねは、主任が、悩んでいるスタッフと対話する時間としたり、インシデント対策を立案したり、自身のマネジメント学習の時間に充てることが可能になります。この時間が、主任を「看護管理職」として成長させることになるでしょう。 

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 理由2:業務の標準化による「タスク・シェア」 

Screeは、必要な聴取項目が漏れなく標準化されています。 

これにより、「ベテランでないと正確な情報が取れない」という属人化が解消されます。経験の浅いスタッフでも漏れなく情報を収集できるようになるため、主任に集中していた業務を適切にスタッフに分担できるようになり、厚生労働省が推進する「タスク・シェア」が進んでいきます[11]。 

理由3:精神的な余裕が「育てる意欲」を生む 

「記録が終わらないから帰れない」という残業の常態化は、主任の意欲を削ぎます。DXツールによる業務効率化は、主任のワークライフバランスを整え、長期的に活躍してもらうための必須条件と言えます。 

業務が効率化され、残業や事務作業から解放されることは、主任のメンタルヘルス向上に直結します。 
「精神的な余裕」があって初めて、人は他者の成長に関心を持ち、前向きなキャリア開発に取り組めるようになるのです。 

環境を変えれば、人は育つ 

主任が育たない、定着しないという課題は、個人の問題ではなく、環境の問題です。 
教育研修を充実させることも大切ですが、それ以前の土台として、「教育を受け、実践するための時間と心の余裕」を確保することが先決です。 

入院業務の効率化ツール「scree」は、単なる業務改善システムにとどまらず、主任を「時間不足」から解放し、本来あるべき「看護管理・教育」の役割へと導くための強力なパートナーとなります。 
まずはscreeによる時間の創出から、組織改革を始めてみてはいかがでしょうか。 

【参考・引用文献】

  1. https://www.nurse.or.jp/nursing/assets/learning/support-learning-guide-ex.pdfhttps://www.nurse.or.jp/nursing/learning/index.html 
  2. https://www.nurse.or.jp/nursing/home/publication/pdf/guideline/nm_managementladder.pdf 
    https://www.nurse.or.jp/nursing/kangogyomu/management_ladder/index.html) 
  3. https://www.nurse.or.jp/nursing/wp-content/uploads/2018/04/shusei1_firstlevel_ninteikangokanrishakarikyuramukijunkaiseian.pdf 
    https://www.nurse.or.jp/nursing/qualification/education/educ_inst_approval_cna.html) 
  4. https://share.google/hO3yjw95gLnYG6VuS 
  5. http://www.jsomt.jp/journal/pdf/063050290.pdf 
  6. https://share.google/v1lH6ZZtMVnIx44M0 
  7. https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2016/163011/201620051A_upload/201620051A0009.pdf 
  8. http://hokuga.hgu.jp/dspace/bitstream/123456789/3779/1/%E2%91%A3%E6%9D%BE%E7%94%B0%E8%AB%96%E6%96%87.pdf 
  9. https://scree.jp/ 
  10. https://scree.jp/cases/ 
  11. https://www.nurse.or.jp/nursing/assets/shift_n_share/guideline/tns_guideline.pdf 
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