業務改善

補助金を「無駄にしない」ために。入院業務の効率化で押さえておきたい3つの視点

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厚生労働省は、ICT機器等の導入による業務効率化・職場環境改善を支援する「医療分野における業務効率化・職場環境改善支援事業」の公募を実施しています。1施設あたりの補助上限額は8,000万円(対象:令和8年4月1日時点でベースアップ評価料を届け出ている病院)と、見逃せない規模の支援です[1][2]。

しかし、現場でよく耳にするのがこんな声です。

「せっかく苦労して導入したのに、現場で全然使われていない……」

看護師長
看護師長

補助金があるから導入した。でも定着しなかった。これほどもったいないことはありません。今回は、多くの看護現場へのヒアリングから見えてきた「補助金活用で失敗しないための視点」と、入院業務の効率化に向けた具体的なアプローチをご紹介します。

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  • 厚生労働省の医療DX補助金(令和8年度)の活用を検討している病院のご担当者
  • 補助金を使ってシステムを導入したが、現場に定着しなかった経験がある方
  • 看護師の記録業務・残業時間の削減に課題を感じている看護管理者・師長
  • 入院業務の効率化に取り組みたいが、何から手をつければよいかわからない方
  • 補助金申請書の「効果の示し方」に悩んでいる病院の事務局担当者

まず知っておきたい看護師の「残業の現実」

補助金でシステムを導入する前に、現状の数字をきちんと把握しておく必要があります。

日本医療労働組合連合会の「2022年看護職員の労働実態調査」によると、9割以上の看護師が時間外労働をしており、日勤の場合は1日あたり1時間以上の残業が常態化しています。月あたりの時間外労働は日本人平均(10.5時間)の2倍以上にのぼるとされており、残業が多くなる主な要因として挙げられているのが、交代時の引き継ぎ業務と看護記録などの書類業務です[3][4]。

看護記録は患者一人ひとりに対して作成が必要な上、裁判資料としても機能する重要書類です。しかし患者対応が優先される現場では勤務時間中に記録を終えることが難しく、「申し送りが終わってから記録に入る」という構造が残業を生み続けています。

この「記録業務」にメスを入れることが、看護師の業務改善において最も直接的なアプローチのひとつといえます。

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補助金を検討するときに見落としがちな3つのこと

補助金は導入コストを大幅に抑えられる強力な制度です。ただし、検討の際に見落としやすい視点が3つあります。

① 「革新的」な技術に惑わされない

AIや最新テクノロジーという言葉は確かに魅力的です。しかし大切なのはシステムのスペックではなく、「現場の業務が本当に変わるか」という一点です。

医療機関のDXは、最先端技術を詰め込んだシステムよりも、現場の課題にフィットした適切なスペックの解決策を選ぶことが、導入後の形骸化を防ぐ最大のポイントになります。

② 「積み上げ型」の試算に注意する

「1回の対応で1分削減、年間〇〇分の削減」という計算は、掛け算すると大きな数字に見えます。しかし看護現場の実態として、細切れの数分が浮いても「まとまった時間」にはなりにくいものです。

取り組むべきは、業務のあり方そのものを変えて、塊として時間を生み出せる改善です。費用対効果の「確からしさ」をしっかりと見極めた上で導入を判断することが重要です。

③ 「誰が使うのか」を忘れない

どれほど優れたシステムも、使われなければ意味はゼロです。導入するスタッフが「これ、自分の困りごとを解決してくれる」と感じられるかどうかが、定着率を大きく左右します。

補助期間が終わった後も運用が継続できる仕組みであること——これが、真の成功条件です。

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補助金申請で示すべき「効果」の書き方

メディカルギークが提供する scree(スクリー) は、入院時の問診・記録業務をデジタル化するクラウドサービスです。タブレット一度の入力で複数の帳票を自動生成し、加算算定用シートまで作成します。

本補助金の申請には「導入後の継続性」と「具体的な成果」の提示が求められます。screeを活用する場合、申請書に盛り込むべきポイントは主に3点です。

① 入院1件あたり「最大60分」の業務時間削減

申請書には「具体的かつ定量的な効率化目標」の記載が必須です。

現状、入院1件あたりの記録・情報収集には平均約88分を要しています。screeの活用により、この作業を25分(約70%削減)に短縮し、入院業務全体で1件あたり最大60分の削減を目指します。

年間1万件の入院がある病院では、年間1万時間以上の削減が見込まれる計算です。

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② 帳票集約と多職種連携による「業務手順の見直し」

補助金では「業務手順の見直し」も評価対象です。

何十枚もある入院時問診をタブレット一度の入力で集約し、加算算定用シートまで自動生成。収集されたデータは医師・薬剤師・管理栄養士・リハビリ職とも共有でき、職種間の重複した質問を解消します。

これは補助金が推進するタスク・シェア(多職種間の業務分担の最適化)の実現にも直結します。

③ 補助期間終了後も成り立つコスト設計

申請書には、補助対象外となる次年度以降のランニングコストについても説明が求められます。

screeの導入事例では、看護師の超過勤務が前年比で半減。その削減分がシステムの運用費を十分に賄える実績が出ています。「補助金なしでも経営的に成立する」という見通しを示せることが、審査で評価されるポイントです。

補助金を「現場を変える起点」にする

「記録のために残業するのが当たり前」——そんな環境を、仕組みの力で変えることができます。この補助金を、単なるシステム導入ではなく、入院業務のあり方を根本から見直すきっかけとして活用してみませんか。

メディカルギークは、代表をはじめ看護現場を熟知したメンバーで構成されています。申請に必要な業務効率化計画の作成サポートから、事務局・システム担当者へのご説明まで、全力でお手伝いします。


参考資料

  1. 厚生労働省「医療分野における業務効率化・職場環境改善支援事業について」
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_70522.html
  2. 厚生労働省「医療施設等経営強化緊急支援事業について」
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_51451.html
  3. 日本医療労働組合連合会「2022年看護職員の労働実態調査「報告集」」
    https://www.irouren.or.jp/
  4. マイナビ看護師「看護師の残業時間の実態とは?発生しやすい原因や負担を減らすための対策」
    https://kango.mynavi.jp/contents/nurseplus/workstyle/20231209-2167864/
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