看護師の入退院支援とは——制度の背景から実務・やりがいまで徹底解説
入退院支援って結局何をする仕事なの?
病棟看護師と何が違うの?

そんな疑問を持ちながら、入退院支援に関わっている、あるいは関わり始めた看護師は少なくありません。
入退院支援は、患者さんが安心して入院し、退院後も自分らしい生活を続けられるように病院と地域の橋渡しをする役割です。
やりがいの大きさが語られる一方、「調整業務ばかりで看護らしくない」「多職種との関わりが難しい」と感じる声もあります。
この記事では、入退院支援の制度的な背景・具体的な業務内容・看護師ならではの専門性・やりがいと難しさまでをまとめて整理します。これから関わる方にも、すでに携わっている方にも役立つ内容です。
- 入退院支援部門への異動・転職を検討している看護師の方
- 病棟で退院調整に関わり始めたばかりで、業務全体像を把握したい方
- 入退院支援加算・入院時支援加算など診療報酬の概要を把握したい方
- 退院支援看護師とMSW(医療ソーシャルワーカー)の違いを理解したい方
- 地域包括ケアの中で看護師の役割を広げたい師長・管理職の方
入退院支援が重要視される背景——「病院完結型」から「地域完結型」へ
かつての医療は、入院から治療、在宅復帰までの全プロセスを一つの病院が担う「病院完結型」が主流でした。しかし超高齢社会の進展とともに、慢性疾患や複数の障害を抱えながら地域で生活し続けることを支える「地域完結型」の医療へとシフトしています。これが地域包括ケアシステムの根幹です。
この転換の中で入退院支援の役割は急速に拡大しました。患者さんは疾患のステージに応じて急性期病院・回復期病棟・在宅・介護施設を行き来するようになり、それぞれの場をつなぐ「継続看護」の仕組みが不可欠になったからです。
診療報酬の面でも、この流れは明確です。2024年度(令和6年度)診療報酬改定では、入退院支援加算1の施設基準として、急性期病棟を有する医療機関では病院・診療所との、地域包括ケア病棟を有する医療機関では介護・障害福祉サービス事業所との連携機関数を一定数確保することが新たに求められるようになりました[1]。「連携の質」が評価される時代に入っています。

入退院支援加算の基本——制度としての位置づけを押さえる
入退院支援の取り組みは診療報酬上、入退院支援加算(A246) として評価されています[2]。令和6年度改定時点での主な点数は以下のとおりです。
- 入退院支援加算1:一般病棟700点 / 療養病棟1,300点(退院時1回)
- 入退院支援加算2:一般病棟190点 / 療養病棟635点
- 入退院支援加算3:1,200点(主に障害のある方の在宅移行)
加算の算定要件として看護師に特に関係するのは、「入院早期(原則入院から3日以内)に退院困難な要因を有する患者をスクリーニングし、入退院支援に向けた取り組みを実施すること」です。加算1では、入院後7日以内に病棟看護師・入退院支援部門の看護師・社会福祉士等が共同でカンファレンスを実施することも要件となっています。
入退院支援部門の施設基準においては、200床以上の病院では専従または専任の看護師と社会福祉士の配置が求められており、看護師は入退院支援部門の中核スタッフとして明確に位置づけられています[3]。
また、入院前の支援として 入院時支援加算 も設けられており、予定入院患者に対して入院前の外来段階で、入院生活のオリエンテーション・服薬状況の確認・褥瘡・栄養スクリーニング等を実施した場合に算定できます。患者さんが「入院後にどのような治療過程を経るかをイメージでき、安心して入院を受け入れられる」ようにすることが目的です。

入退院支援における看護師の具体的な役割
① スクリーニング——「支援が必要な患者」を早期に見つける
入退院支援の起点は、退院支援が必要な患者さんを早期に特定することです。外来での入院決定時点から入院後48時間以内を目安に、スクリーニングシートを用いて既往歴・入退院の繰り返しの有無・服薬管理の状況・家族構成・介護力などを確認します。
ここで看護師ならではの強みが発揮されます。医療ソーシャルワーカー(MSW)が家族関係や経済的背景からアプローチするのに対し、退院支援看護師は医療的な視点から患者さんの退院後の生活をアセスメントできます。「在宅酸素が必要になりそうか」「認知症の進行度から一人暮らしは続けられるか」といった判断は、臨床経験を持つ看護師だからこそできる専門的な評価です。
一方で、入院時アセスメントシートやスクリーニングシートの作成に要する膨大な時間は、「スクリーニング」のためにベッドサイドに行く時間が奪われるという矛盾を生み出しています。
メディカルギーク株式会社が提供する入院業務支援サービス「scree(スクリー)」は、この最大のボトルネックを解決するために開発されました。screeは、看護師が新規入院患者の情報を収集し、その情報を基に作成する各種帳票を効率的に作成できるサービスです。

screeの主な機能は?
- スマホでの事前入力機能
患者やご家族が、来院前に問診を自宅で入力できます。これにより、看護師の情報収集時間が大幅に削減されます。収集されたデータは構造化されて帳票作成・カルテへの連携もされるため、迅速かつ正確に記録を完成させることができます。 - リピーター入力自動機能
一度退院した患者が再入院した場合、前回の問診データや基礎情報を参照し、自動で入力できます。反復的な情報入力の負荷を完全に排除し、再入院時の記録時間を劇的に短縮します。これは、慢性期疾患の患者が多い施設や、入退院を繰り返す急性期病院において、記録時間の短縮に最も直接的に貢献する要素です。 - 自動帳票作成機能
収集された情報に基づき、アセスメントシートやスクリーニングシートといった必要な帳票を自動的に作成します。看護師は情報の転記や、帳票の作成にかかる時間をぐっと短縮することができます。
screeは単なる電子カルテの補助ツールではなく、統計的に証明された看護業務のボトルネック(情報収集の負荷)を根本的に解消するためのサービスです。

② 退院支援計画の作成・実施
スクリーニングで支援が必要と判断された患者さんに対して、退院支援計画を作成します。計画には「退院困難な要因」「退院へ向けた目標・支援期間」「予想される退院先・必要な福祉サービス」などを盛り込み、患者さんと家族に文書で説明・交付します。
退院支援計画は一度作ったら終わりではなく、患者さんの状態変化や家族の意向変化に応じて随時更新し、その都度説明・交付が求められます。

③ 多職種カンファレンスのコーディネート
退院支援は看護師一人では完結しません。医師・病棟看護師・PT/OT(理学療法士・作業療法士)・管理栄養士・薬剤師・MSW・ケアマネジャー・訪問看護師などが関わるチームプレーです。
東京医科大学八王子医療センターの退院支援専従看護師は、「入院早期から医師や病棟看護師と情報を共有し、リハビリを見学したり、栄養士や薬剤師にも意見を求めつつ、その患者さんが病気や障害を抱えながらその人らしく生きるための方法を一緒に考え、意思決定を支援する」と述べています[4]。カンファレンスの日程調整・参加者の選定・議論のファシリテーションも、入退院支援看護師が担う重要な仕事です。

④ 院外連携——次の療養先への橋渡し
転院先の病院、ケアマネジャー、訪問看護ステーション、介護施設などとの連絡・調整は、院外連携の核心です。退院前カンファレンスへの参加・在宅サービスの導入調整・介護保険申請のサポートなど、医療機関の外に向けた業務が占める割合も大きくなります。
入退院支援のやりがいと難しさ——現場の実態から
やりがいの核心は「その後の人生」に関われること
急性期病棟の看護は治療の完遂が一つのゴールですが、入退院支援は「退院後にどう生きるか」まで視野に入ります。患者さんやご家族から「あなたのおかげで家に帰れました」と言われる瞬間、あるいは退院後に外来でばったり会って「元気でやってますよ」と報告してもらえる経験は、病棟勤務とはまた違う深みのある達成感につながります。
地域包括ケア病棟で働く看護師からは「退院を目前に控えて笑顔を見せる患者様を見届けることができる」「退院していく患者さまを見送る瞬間が喜びや達成感につながる」という声が多く聞かれます。

専門性の広がりがキャリアの強みになる
入退院支援を通じて習得できるスキルは多岐にわたります。介護保険の申請フロー・障害福祉サービスの制度知識・ケアマネジャーとの連携手法・意思決定支援のコミュニケーション技術——これらは急性期病棟勤務だけでは得にくいスキルセットです。
退院支援看護師のキャリアパスとしては、訪問看護師・地域連携室の責任者・入退院支援部門の立ち上げ担当者などへの発展が考えられます。日本看護協会も「療養生活を支え、看護をつなぐ入退院支援」研修(研修番号111)を提供しており、スキルアップの学習機会も整備されています[5]。

難しさを正直に言うと——「調整業務の重さ」
やりがいがある一方で、「うまくいかない」こともあります。患者さんやご家族が在宅復帰を希望していても、環境整備が進まなかったり、介護保険申請に時間がかかったりして計画通りに退院できないケースは珍しくありません。在院日数のプレッシャーを感じながら、患者・家族・院外のサービス事業者・院内の多職種の間で調整を続けるのは精神的にも体力的にも消耗します。
こうした局面では「縁の下の力持ち」として水面下で走り続ける力と、「患者さんの生活をゴールとして見据える」という軸の強さが問われます[6][7]。
まとめ
入退院支援は「病院を出た先」を看護する仕事です。地域完結型医療への転換・診療報酬による制度的後押し・そして何より高齢化の進展の中で、その重要性はますます高まっています。
看護師として入退院支援に携わることは、医療的アセスメントの専門性を活かしながら、介護・福祉・地域資源の知識と調整力を身につけ、患者さんの「その後の人生」に長く関わる経験です。難しさもありますが、急性期病棟とは異なるスケールのやりがいがある領域でもあります。
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参考資料
- 厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要(入退院支援加算・入院時支援加算)」https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001252073.pdf
- 診療報酬点数表「A246 入退院支援加算(退院時1回)」https://shirobon.net/medicalfee/latest/ika/r06_ika/r06i_ch1/r06i1_pa2/r06i12_sec2/r06i122_A246.html
- GemMed「入退院支援加算等の最大のハードルは専従の看護師等確保」https://gemmed.ghc-j.com/?p=42326
- 東京医科大学八王子医療センター看護部「私の考える退院支援」https://hachiojikango.tokyo-med.ac.jp/patient/all_every/20241018-私の考える退院支援/
- 日本看護協会「研修番号111:療養生活を支え、看護をつなぐ入退院支援」https://www.nurse.or.jp/
- 看護roo!「退院後の生活はどうなる?地域医療やチーム医療は?」https://www.kango-roo.com/learning/7607/
- マイナビ看護師「退院支援とは?看護師の役割や流れを解説」https://kango.mynavi.jp/contents/nurseplus/career_skillup/20230708-2164779/





