今、看護師の働き方改革が求められる理由とは?

「働き方改革」とは、労働環境を見直し、すべての働く人がその能力を最大限に発揮しやすい環境を整えることを目的とした取り組みです。日本では、長時間労働や少子高齢化に伴う人手不足などが背景となり、2019年に「働き方改革関連法」が施行されました[1]。これにより、労働環境の改善が全国的に進められています。
しかし、看護師という職業においては、一般的な職場の働き方改革とは一線を画す独自の課題が存在します。
本記事では、看護師の働き方改革がなぜ必要なのか、その背景や理由、具体的な改善策について解説しました。
- 働き方改革が看護師の働き方に与える影響を知りたい方
- 働きやすい環境づくりのために何をしたらよいか焦りを感じる管理者の方
看護師の働き方改革が求められる理由
1. 長時間労働と多岐にわたる業務の負担
看護師は患者ケアを中心に、診療の補助・記録業務・家族対応など幅広いタスクを抱えています。シフト制で24時間対応が求められることも多く、深夜勤務や休日出勤が当たり前になっている現場も少なくありません。
その結果、慢性的な長時間労働が発生し、身体的・精神的負担が大きくなっています。看護師不足が問題となる一方で、現場では業務を抱え込まざるを得ない状況が続いています。

2. ワークライフバランスの難しさ
看護師は女性が多い職業であることから、妊娠・出産・介護などライフスタイルの変化にあわせて仕事の両立を模索する人が非常に多いです。しかし、多忙な現場では夜勤が必須だったり時間内に帰ることが難しかったり、ワークライフバランスを維持するのは困難なシーンもあるでしょう。
特に夜勤や慢性的な残業はワークライフバランスを考えるうえでの大きなハードルであり、離職の要因にもなっているのが現状です。
3. 医療現場の特性による課題
看護師は命を預かる医療現場で働くため、業務の責任感が非常に重く、プレッシャーが大きいことが特徴です。
さらに、近年では感染症対策や患者の高齢化に伴うケアの複雑化が進み、一人ひとりの負担が増加しています。このような環境での働き方改革は急務と言えるでしょう。
働き方改革関連法が与える影響
2019年に施行された働き方改革関連法では、看護師を含むすべての職種に対して、以下のような変化が求められました[2]。
時間外労働の上限規制
労働基準法が改正されたことにより、一定の上限を超える残業は禁止されるようになりました。今まではいわゆる36協定で定められている範囲、月45時間かつ年間360時間が範囲内でしたが、特別な事情があり年6ヶ月までの臨時的である場合はこれらの限度時間を越えることも可能ではありました。
今回の法改正により、これらに上限規制が設けられました。36協定を締結していても、1ヶ月100時間以上もしくは2-6ヶ月での月平均80時間超となる時間外労働及び休日労働を課すことはできません。
これは医療も例外ではなく、看護師にも適用されます。違反した場合6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金とされています。
年次有給休暇の取得促進
年間10日以上の年次有給休暇を付与される社員に対し、1年以内に最低5日の取得が義務付けられました。これの取得時期は社員の裁量であり、自ら時季を指定して取得ができます。
これにより現場での休暇取得の意識が高まっています。

同一労働同一賃金の推進
パートタイム・有期雇用労働法、労働者派遣法の施行に伴い、正規雇用労働者と非正規雇用労働者(パートや派遣)の格差を解消する働きかけが始まりました[3]。
同一労働・同一賃金の名が示す通り、同じ労働内容であれば雇用形態によらず同じ金額を支給するように雇用主側に働きかけるものです。
2025年12月に全国の労働局が行政指導の目安にするガイドラインを刷新、2026年10月より大幅に拡充される予定です。近年の最高裁の判例に基づくもので、正社員の待遇引き下げによる均衡化を明確が否定されます。
これらの法改正により労働環境は少しずつ改善していますが、看護師に特化した働き方改革はまだまだ不十分です。
看護師の働き方改革の具体例
1. 業務の効率化とタスクシフトの推進
2024年4月より医師の働き方改革の新制度が施行され、医師のタスクシフト先として看護師も挙がるようになりました[4]。具体的な例として、特定行為研修などより専門的な判断を行っていくというものがその1つです。
一方でこれは看護師の業務負担増加にもつながるものとも言えることから、「各プロフェッショナルが自分の専門に集中する」ことができるような体制づくりのあり方を検討する必要があります。
そこで看護師の負担軽減を目指し、医療現場ではタスクシフトの取り組みが進められています。 例えば、メッセンジャー業務など看護師ではなくても対応が可能な業務に関しては、看護補助者など他職種に移譲することで看護師が本来のケア業務に集中できる環境整備が進められています。

2. 柔軟な勤務形態の導入
日勤常勤看護師・夜勤専従看護師・短時間勤務など多様な働き方の選択肢を提供することで、育児・介護と両立している看護師も働きやすい環境づくりが進められています。
これらは潜在看護師の現場復帰を促すことにもつながります。
3. IT技術の活用
電子カルテや業務支援アプリの導入による記録業務の効率化も進行中です。これにより、看護師の業務負担が軽減され、患者との対話に割ける時間が増えると期待されています。
看護師が抱える仕事上の課題を解決するソリューションの一つが、入院業務支援サービス「scree」です。 screeは、入院時の情報収集から記録までを効率化し、看護師の負担を大きく減らすことを目指しています。

持続可能な労働環境を目指して
働き方改革は看護師にとって、単なる法令遵守にとどまらず、より良い医療を提供するための基盤づくりでもあります。この流れをチャンスと捉え、個々の現場に合った取り組みを進めることが、これからの医療に求められる課題解決への鍵となるでしょう。
患者ケアの質の向上
業務負担が軽減されることで、看護師はより質の高いケアを提供できます。
離職率の低下
働きやすい環境が整えば、看護師が長く働ける職場が増え、人材不足の解消につながります。
やりがい・満足度の向上
専門性を発揮しやすい環境が整うことで、看護師のやりがいが向上します。
一方で、改革を成功させるためには、職場全体の意識改革や他職種との連携が不可欠です。特に看護師が中心となり、現場の実情に即した改善策を提案することが重要です。
IT技術は人に依存しない働き方改革への近道

入院業務の効率化ツール「scree」は、単なる業務改善システムにとどまらず、今働く人の業務負担を減らし、業務負担軽減が人を集めるという好循環を作る強力なパートナーとなります。
まずはscreeによる時間の創出から、働き方改革を始めてみてはいかがでしょうか。
【参考・引用文献】




