タスクシフト

みんなどうしてる?看護業務におけるタスクシフトの具体的な取り組み

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医療現場では、看護師の業務負担が増加し、働きやすい環境づくりが急務です。このため、看護師業務の一部を他の職種に分担・移管する「タスクシフト」が注目されています。

とはいえ「タスクシフトを進めよう」と言われても、何から手をつければよいのか分からない――そんな声を看護現場でよく聞きます。
本記事では、タスクシフトの基本的な考え方から、現場で実際に行われている事例、導入時のポイントまでを整理します。

この記事がおすすめな方 
  • タスクシフトをと言われつつ何から始めようか悩んでいる看護師の方 
  • 業務改善委員でタスクシフトと言われてどうしようと思っている看護師の方 
  • 業務負担をどうにかしたいと思っている看護管理者の方

タスクシフト(タスク·シフト/シェア)とは

タスクシフトとは、特定の職種に集中していた業務を、ほかの職種に「移管(シフト)」または「共同化(シェア)」することです。

2024年4月、医師の時間外労働に上限規制が施行されました(医師の働き方改革)。これに伴い、これまで医師が担っていた業務の一部を看護師や薬剤師などへ移管する動きが加速しています[1]。

さらに、看護師自身の業務負担軽減という観点から、看護師が担ってきた一部の業務を看護補助者など他の職種に委譲する取り組みも「タスクシフト」として広く実践されています。

タスクシフトが求められる背景

2024年以降、タスクシフトが医療現場の急務となっている背景には、次の2つの構造的な課題があります。

医師の過重労働

厚生労働省の調査(2022年)によると、年間960時間超の時間外労働をしている医師の割合は全体の21.2%、1,920時間超に至っては3.7%にのぼります。これは「過労死ライン」を大幅に超える水準です。

2024年4月の法施行後、医師の業務を他職種に移管するタスクシフトは、義務に近い取り組みとなっています。

看護師の慢性的な人手不足

一方で、業務の受け皿となる看護師も人材不足が深刻です。厚生労働省の推計では、2025年には全国で約5.5万人の看護職員が不足するとされています[2]。

そのため、看護師が本来の専門業務に集中できるよう、看護補助者や多職種への業務分担も欠かせません。「タスクシフトの連鎖」とも言えるこの構造が、現在の医療現場が直面している現実です。

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看護師に関わるタスクシフトの具体的な事例

ここでは、実際の医療現場で行われているタスクシフトを、「看護師が受ける側」と「看護師が委ねる側」に分けて紹介します。

【看護師が受ける側】医師からのタスクシフト

■ 特定行為研修修了者による高度医療行為の実施

特定行為研修を修了した看護師は、医師の手順書に基づき38の医療行為を実施できます。たとえば、人工呼吸器からの離脱、中心静脈カテーテルの抜去、持続点滴時の薬剤量調節などが含まれます。

2024年9月時点で修了者数は11,441名(出典:厚生労働省)。高齢化社会を背景に、在宅医療の現場でも特定行為看護師の活躍が広がっています[3]

■ プロトコールに基づく採血·検査オーダー

救急外来などでは、医師の事前指示に基づき、看護師が採血や一部検査を先行して実施する取り組みが増えています。これにより診療のスピードが上がり、患者待ち時間の短縮にもつながります。

【看護師が委ねる側】他職種·看護補助者へのタスクシフト

■ バイタル測定を看護補助者へ移管

血圧·脈拍·体温などのバイタル測定は頻度が高く、看護師の手を取られる業務の一つです。測定と電子カルテ入力を看護補助者が担い、異常値のみ看護師へ即時報告する体制を整えることで、看護師は判断·ケアに専念できます。

■ 転倒リスクアセスメントをリハビリスタッフと連携

患者の歩行状況や生活動作の評価は、理学療法士·作業療法士との連携が効果的です。リハビリスタッフがアセスメントを担い、その情報をもとに看護師がケアプランを作成するという分担は、評価の質と患者安全の向上につながります。

■ 薬剤管理·服薬指導を薬剤師と分担

薬剤師が病棟に常駐し、処方内容の確認や患者への服薬指導を担うことで、看護師の薬剤関連業務が大幅に減少します。薬の専門家が直接関わることで、服薬アドヒアランスの向上や副作用の早期発見にもつながります。

■ 退院支援をソーシャルワーカーと分担

退院後の生活調整や施設との連絡、家族への支援はソーシャルワーカーが主体的に担い、看護師は患者の身体状況や医療的な情報提供に集中します。役割を明確に分けることで退院支援がスムーズになり、在院日数の短縮にも貢献します。

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実際の取り組み事例:近森病院(高知県)

高知県高知市の近森病院(489床)では、タスク·シフト/シェアを軸にしたチーム医療改革に取り組んでいます。

看護業務を「看護判断を必要とするもの」と「ルーティンで標準化できるもの」に分類し、後者を他職種に委譲。看護師が患者に向き合う時間を確保することで、看護の質向上とスタッフのやりがい向上、さらには病院経営の改善にもつながったと報告されています[4]。

タスクシフトを進める上での注意点

役割と責任の境界を明確にする

最も多いトラブルが「どこまでが誰の仕事か分からない」という状態です。委譲する業務の範囲、報告のルール、異常時の対応フローを文書化し、関係者全員で合意することが前提です。

移管先の負担増に注意する

看護師の負担を減らすために補助者や他職種に業務を移した結果、今度はその職種が疲弊する――というケースは珍しくありません。タスクシフトは一方通行ではなく、組織全体の業務量バランスを見ながら進める必要があります。

ITツールを活用して情報共有を担保する

電子カルテを用いたリアルタイムの情報共有、定期的な多職種カンファレンスなど、職種をまたいだコミュニケーション基盤の整備が成否を分けます。特に「誰が·何を·いつ行ったか」が全職種で即時に確認できる仕組みは必須です。

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  • 病院ごとの帳票に合わせ、専門家が効率化させた個別カスタマイズ仕様 
  • 小児や周産期など、専門領域にも対応可能
  • 看護師だけでなく他職種の記録業務も解決できる 

看護師の経験を持つ担当者が貴院の課題を丁寧にヒアリングし、screeの導入がどのように貢献できるか、具体的な活用方法をご提案させていただきます。

まとめ

タスクシフトは、「誰かの仕事を誰かに押しつける」ものではありません。各職種がそれぞれの専門性を最大限に発揮できるよう、業務を再設計することです。

医師の働き方改革を契機に、この取り組みの重要性は今後もさらに高まります。現場の看護師·看護管理者が主体的に声を上げ、組織全体を動かすことが、患者ケアの質向上と働き続けられる職場づくりの両立につながります。

「私たちの病院でも、ITを活用した業務改善は可能だろうか?」 
「まずは何から始めればいいのか、専門家の意見が聞きたい」 

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【参考・引用文献】

  1. 厚生労働省「医師の働き方改革を進めるためのタスク·シフト/シェアの推進に関する検討会議論の整理」(2020年12月)https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_513005.html
  2. 厚生労働省「看護師等の確保をめぐる状況」(2023年9月)https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001138399.pdf
  3. 特定行為研修制度についてhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077077.html
  4. 日本看護協会「看護の専門性の発揮に資するタスク·シフト/シェアに関するガイドライン及び活用ガイド」https://www.nurse.or.jp/nursing/shift_n_share/guideline/index.html

  

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