電子カルテ

看護師と電子カルテ——メリット・デメリットを現場目線で解説

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「電子カルテになってから記録が楽になった」という声がある一方で、「操作が複雑でかえって時間がかかる」「自分たちの業務に合っていない」という声も、現場では根強く聞こえてきます。

電子カルテは今や大規模病院では当たり前のツールです。厚生労働省の調査によると、400床以上の病院における電子カルテ導入率は91.2%に達しており(令和2年医療施設調査)、2025年11月時点では病院全体で77.7%、診療所でも71.0%まで普及が進んでいます。政府は「医療DX令和ビジョン2030」のもと、2030年までに普及率ほぼ100%を目指しており、2025年12月には医療法等の改正によりその方針が法制化されました。

つまり、電子カルテは「使うか使わないか」ではなく、「いかに使いこなすか」の時代に入っています。本記事では、看護師の視点からメリットとデメリットをデータや事例を交えて整理し、電子カルテとうまく付き合うためのヒントをお伝えします。

この記事がおすすめな方 
  • 電子カルテを導入したばかりで、操作や活用法に不安がある看護師
  • 紙カルテから電子カルテへの移行を控えており、変化のイメージをつかみたい方
  • 電子カルテの導入効果や課題について、職場での勉強会・情報共有に使える資料を探している師長・主任
  • 転職先の病院が電子カルテに対応しているか、その活用レベルを評価したい看護師

電子カルテが看護師にもたらすメリット

1. 記録業務の効率化と時間外労働の削減

日本看護協会などが推進している「看護DX」の文脈でも、「看護師の業務のうち記録などの間接業務が長く、直接ケアの時間確保が困難」という課題が明確に指摘されています(厚生労働省「これからはじめる看護DX事例紹介」2025年3月)。

急性期病院を対象とした事例では、モバイル端末を活用して電子カルテへのベッドサイド入力を可能にしたことで、記録のリアルタイム化が進み、時間外の記録業務が削減されたと報告されています。また、バイタルサイン測定機器と電子カルテを連携させることで、手作業による転記ミスを防ぎながら記録時間そのものを短縮できるようになった事例も増えています。

記録業務の負荷が一番大きくなるのは入院時。アセスメントシートやスクリーニングシートの作成に要する膨大な時間は、「スクリーニング」のためにベッドサイドに行く時間が奪われるという矛盾を生み出しています。 

メディカルギーク株式会社が提供する入院業務支援サービス「scree(スクリー)」は、この最大のボトルネックを解決するために開発されました。screeは、看護師が新規入院患者の情報を収集し、その情報を基に作成する各種帳票を効率的に作成できるサービスです。 

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screeの主な機能は? 

  1. スマホでの事前入力機能 
    患者やご家族が、来院前に問診を自宅で入力できます。これにより、看護師の情報収集時間が大幅に削減されます。収集されたデータは構造化されて帳票作成・カルテへの連携もされるため、迅速かつ正確に記録を完成させることができます。 
  2. リピーター入力自動機能 
    一度退院した患者が再入院した場合、前回の問診データや基礎情報を参照し、自動で入力できます。反復的な情報入力の負荷を完全に排除し、再入院時の記録時間を劇的に短縮します。これは、慢性期疾患の患者が多い施設や、入退院を繰り返す急性期病院において、記録時間の短縮に最も直接的に貢献する要素です。 
  3. 自動帳票作成機能  
    収集された情報に基づき、アセスメントシートやスクリーニングシートといった必要な帳票を自動的に作成します。看護師は情報の転記や、帳票の作成にかかる時間をぐっと短縮することができます。 

screeは単なる電子カルテの補助ツールではなく、統計的に証明された看護業務のボトルネック(情報収集の負荷)を根本的に解消するためのサービスです。 

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テンプレートや定型文の活用も大きなポイントです。毎日繰り返すバイタルチェックや処置記録にテンプレートを設定しておくことで、入力時間を大幅に短縮できます。「慣れれば紙より早い」という実感は、テンプレート設計の良し悪しに左右される部分が大きいとも言えます。

なお、2040年問題を見据えた看護業務のIT活用全体については、以下の記事でも詳しく解説しています。

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2. 多職種リアルタイム情報共有とタスクシフトへの貢献

紙カルテは「物理的に1冊しかない」という構造上の限界がありました。他のスタッフが使用中は閲覧も記録もできず、患者が検査室に移動した際には病棟でカルテを確認できない場面もありました。

電子カルテは、複数の職種・複数の場所から同時にアクセスできます。医師の指示がリアルタイムで反映されるため、「医師への確認待ち」という業務のボトルネックが解消され、看護師がより自律的に動けるようになります。訪問看護では院外からのクラウドアクセスにより、ステーションに戻ることなく記録できる点も実務上の大きな利点です。

特に、タスクシフト(業務移管)が進む現場では、正確な情報共有が安全性と効率性の両方に直結します。電子カルテを通じたITを使用した正確な情報共有がタスクシフトに与える影響については、以下の記事で解説しています。

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3. 記録の正確性・安全性の向上

手書きカルテでは「字が読めない」「指示を読み違えた」という問題が、医療ミスにつながるリスクがありました。電子カルテでは入力内容が活字で表示されるため、判読ミスによる事故リスクを大幅に低減できます。また、処方や検査のオーダーがシステム上で記録されるため、確認のトレーサビリティが高まります。

厚生労働省のガイドラインでは、電子カルテに情報が正しく入力されていること、過失による書き換えや消去がないことを確認する義務が定められており(電子保存の三原則)、適切に運用されれば紙カルテより高い記録品質を担保できます。

さらに、電子カルテに蓄積されたデータは看護記録の質向上にも活用できます。ある病院では電子カルテのデータをもとに「看護過程の支援」に取り組み、ケアの記録を細かく入力・分析することで看護診断のエビデンスとして活用する仕組みを構築しています(Nursing-plaza.com、2024年)。

4. 物理的な保管負担の解消

カルテは法令(医師法・保険医療機関及び保険医療担当規則第9条)により、診療完結から5年間の保管が義務付けられています。患者数が多い病院ほど紙カルテの量は膨大になり、保管スペースの確保と管理が大きな負担でした。電子カルテはサーバーまたはクラウド上で管理されるため、この物理的な課題は根本から解消されます。

電子カルテが看護師にもたらすデメリット・課題

1. 導入初期の操作習熟コスト

電子カルテの操作に慣れるまでには、一定の時間と訓練が必要です。特にITに不慣れなスタッフにとっては、慣れ親しんだ紙カルテからの移行が大きなストレスになることがあります。日本医師会の調査(2025年8月)では、紙カルテを使っている診療所の54.2%が「電子カルテへの移行は困難」と回答しており、学習コストへの懸念は現実的な障壁です。

ただし、この問題は「段階的な導入」と「丁寧な研修設計」でかなりの部分を緩和できます。一度に全機能を使おうとせず、まず頻度の高い業務から慣れていくアプローチが効果的です。看護師が電子カルテを効率的に使うための工夫については、以下の記事もあわせてご覧ください。

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2. 看護師の業務に最適化されていないケースがある

電子カルテは医療スタッフ全体を想定して設計されており、必ずしも看護師の業務フローに特化したものではありません。急性期病院での記録業務が「看護師の業務時間の半数以上を占める」との報告もある中(厚生労働省、2025年)、入力画面の設計や操作動線が実務と合っていなければ、効率化のはずが逆効果になることもあります。

この問題への対処としては、テンプレートのカスタマイズや入力項目の見直しを院内で行うことが有効です。「使いにくい」を我慢するのではなく、システム担当者や情報部門に積極的にフィードバックすることが、職場全体の改善につながります。

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3. 初期・維持コストとシステム障害リスク

電子カルテの導入には、ハードウェア・ソフトウェアの購入費に加え、研修やサポート費用がかかります。中小規模の病院や診療所では、この初期投資が導入の大きなハードルになっています。なお、クラウド型電子カルテの普及により初期費用は以前より抑えられるようになっており、政府のIT導入補助金や医療情報化支援基金(ICT基金)も活用できます。

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システム障害や停電時の対応も事前に備えが必要です。現在のクラウド型システムでは他端末からのアクセス維持やオフライン動作の仕組みも整備されてきていますが、非常時の運用マニュアルを院内で整備しておくことが重要です。また、医療機関を標的としたランサムウェア被害も国内で発生しており、セキュリティ教育と体制構築も欠かせません。

2030年に向けて、電子カルテはインフラへ

政府は2030年までに電子カルテ普及率ほぼ100%という目標を掲げ、「電子カルテ情報共有サービス」の本格稼働も2025年度中に予定されています。これが実現すると、異なる医療機関間でも患者の診療情報をリアルタイムに共有できるようになり、転院・退院支援や在宅医療との連携にも大きな変化が生まれます。

看護師にとって電子カルテは、もはや「記録を入力するツール」ではなく、チーム医療・地域連携・看護の質向上を支える情報基盤です。使いこなすスキルを磨いておくことは、これからの看護キャリアにおいて確実に強みになります。

まとめ

電子カルテは、記録の効率化・多職種連携・安全性向上という面で、看護師の業務に大きなメリットをもたらします。一方で、習熟コスト・操作性の課題・導入費用といったデメリットも存在します。大切なのは、「使いにくい」を放置せずに、テンプレート設計や運用ルールの改善を現場から積み重ねていくことです。

電子カルテは使い方次第で、看護師が患者の傍らにいる時間を増やすための強力な道具になります。2030年の完全普及に向けて、今から主体的に活用スキルを高めていきましょう。

看護記録にかかる時間消費の最大の原因である「新規入院時の情報収集と初期アセスメントの負荷」を自動化するscreeの導入は、業務負担軽減のロードマップにおける最初のステップを効率化することにつながります。 

screeは、情報収集の自動化、リピーターのデータ再利用、および自動帳票作成機能を通じて、初期の記録負荷を最小化します。これにより、初期アセスメントの質が向上するだけでなく、その後の経過記録(SOAPなど)がスムーズになります。

結果として、看護師は情報収集や転記作業から解放され、情報共有や申し送りの効率も向上します。 看護師が患者・家族に寄り添うケアを実現するために、メディカルギークの「scree」の導入をぜひご検討ください。 

参考資料

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