看護師のタスクシフト|メリット・デメリットと現場で成功させるための実践ポイント

「タスクシフトが必要なのはわかっている。でも、何から手をつければいいかわからない」「導入しようとしたら、現場の反発が強くて止まってしまった」——タスクシフトの推進に取り組む看護管理職から、こうした声をよく耳にします。
2023年度から厚生労働省が「タスク・シフト/シェア」の推進を本格化させており、看護師の業務負担軽減と専門性発揮は、もはや現場の努力目標ではなく政策的な課題として位置づけられています(厚生労働省, 2023)。
しかし、タスクシフトは「やる気があれば進む」ものではありません。メリットとデメリットを正確に把握し、現場に合った進め方を設計することが成功の条件です。
本記事では、タスクシフトのメリット・デメリットを整理したうえで、現場での実践ポイントと、スムーズな推進を支える仕組みの考え方を解説します。
- タスクシフトの導入・推進を検討している看護部長・看護師長
- タスクシフトに取り組んでいるが、現場の定着に悩んでいる看護管理職
- タスクシフトの必要性をスタッフに説明するための材料を探している方
- 業務負担の軽減と看護ケアの質向上を同時に実現したいと考えている方
タスクシフトとは「やらなくていい業務を手放す」こと
タスクシフトとは、看護師が担っている業務の一部を、他の職種・スタッフに移行することで、看護師が本来の専門的なケアに集中できる環境をつくる取り組みです。
厚生労働省が推進する「タスク・シフト/シェア」では、医師からの業務移管だけでなく、看護師から看護補助者・クラーク・他職種への業務移行も明確に推進されています。

よくある誤解として「タスクシフトは看護師の仕事を減らすもの」という受け止め方がありますが、本来の目的は逆です。非専門的な業務を手放すことで、看護師にしかできないケアにより多くの時間と質を投入するための取り組みです。
タスクシフトの4つのメリット
1. 看護師が「本来の仕事」に集中できる
書類整理・病室の環境整備・物品の補充・患者の移送など、看護補助者やクラークが担える業務を移行することで、看護師はアセスメント・ケア計画・患者教育といった専門性の高い業務に集中できます。
公益財団法人日本看護協会の調査では、看護師の時間外労働の主な要因として「記録・書類業務」が上位に挙げられており(日本看護協会, 2023)、この部分へのアプローチがタスクシフトの最大の効果を生みます。

2. 患者ケアの質が上がる
看護師が患者と向き合う時間が増えることで、患者の変化への気づきが早まり、退院指導や患者教育の充実にもつながります。
「忙しくて十分に話せなかった」という状況が減ることは、患者満足度の向上だけでなく、インシデント予防にも直接的な効果をもたらします。

3. チーム全体のパフォーマンスが上がる
各職種が自分の役割と責任を明確に持つことで、「誰かがやってくれる」という曖昧な状態が解消されます。役割の可視化はコミュニケーションを活発にし、チーム全体の連携精度を高めます。
4. 看護師のキャリアと専門性が深まる
タスクシフトによって生まれた時間を、特定行為研修や認定看護師資格の取得、入退院支援・退院調整などの専門領域へのキャリアアップに充てることができます。
「業務が減る」ではなく「より高度な業務に移行できる」という視点が、スタッフへの説明において重要です。
タスクシフトの4つのデメリット・リスクと対策
1. 役割の境界が曖昧になる
「この業務は誰がやるのか」が不明確なまま移行を進めると、業務の抜け漏れや二重対応が発生します。
対策:業務分担表を文書化し、「誰が・何を・どのタイミングで」を明示する。変更前後の業務フローを比較できる資料を整備する。
2. 移管先スタッフへの教育・研修が必要になる
新たに業務を担う職種には、適切なトレーニングと手順書の整備が欠かせません。準備不足のまま移行すると、ミスや混乱を招きます。
対策:移行する業務ごとにマニュアルを作成し、OJTの機会を設ける。移行後の一定期間はフォローアップ体制を維持する。

3. 移管先スタッフの負担が増える
看護師の業務が減っても、引き受けたスタッフが過重になっては意味がありません。タスクシフトは「移す」だけでなく、移管先の業務全体を再設計する視点が必要です。
対策:移行前に移管先の現業務量を確認し、必要であれば人員配置や業務フローを調整する。
4. 患者からの理解が得られないことがある
「やり方が変わった」という違和感が、患者の不安や不信感につながるケースがあります。
対策:患者・家族に対して、タスクシフトの目的と各スタッフの役割を事前に説明する。「看護師の時間をより大切なケアに使うための取り組み」として丁寧に伝える。
現場でタスクシフトを成功させる5つのポイント
① 「何を移すか」より「なぜ移すか」から始める
スタッフへの周知で最も重要なのは、目的の共有です。「業務を減らしたい」ではなく、「看護師にしかできないケアの時間を増やすためにやる」というメッセージが、スタッフの納得と協力を引き出します。
② 小さく始めて成功体験を積む
一度にすべての業務を移行しようとすると、混乱とストレスが集中します。まず1〜2つの業務に絞り、試験運用→評価→調整のサイクルを回してから拡大するほうが、現場への定着がスムーズです。
③ 移管先の職種を「協力者」として巻き込む
タスクシフトは看護師だけで完結できる取り組みではありません。移管先の職種(看護補助者・クラーク・リハビリスタッフなど)を計画段階から巻き込み、「一緒にチームをよくしていく」という姿勢で進めることが重要です。
④ 業務を「見える化」してから移す
「なんとなく大変」という感覚だけでタスクシフトを進めようとしても、何を移せばいいかが定まりません。業務時間の計測やスタッフへのアンケートなどを通じて、どの業務に時間と負担が集中しているかを可視化してから移行対象を決めることが、効果的なタスクシフトの条件です。
⑤ 「情報収集業務」こそ、最初に見直す価値がある
タスクシフトの効果を最も早く実感できるのが、情報収集・記録・帳票作成という一連の工程です。看護師が入院前の患者・家族から口頭で聞き取り、手書きやカルテ入力で記録し、書類を作成するという流れは、多くの病院で「改善できていない重要業務」のひとつです。
この工程を見直すことで生まれる時間は、直接ケアの充実とタスクシフト推進の両方に活用できます。
ITシステムはタスクシフトをより現実的にする
タスクシフトを進める上でボトルネックになりやすい「情報収集〜帳票作成」の工程を、仕組みとして解決するのがメディカルギーク株式会社が提供するscreeです。
screeは、看護師経験を持つスタッフが設計した入退院支援業務支援サービスです。患者・家族がスマートフォンや病院設置のタブレットで必要事項を回答するだけで、看護師による口頭聞き取り・手入力・帳票作成までの工程をまとめて効率化できます。

- 必要な情報を患者・家族が自ら入力するため、聞き取りの手間と漏れが同時に解消される
- 看護師経験者が設計した問診内容だから、臨床に必要な情報を的確に収集できる
- 来院前に回答を依頼できるため、入院当日の業務集中を分散できる
- 回答内容から帳票作成まで一気通貫で完了するため、記録・書類業務の時間を大幅に短縮できる
「タスクシフトはやりたいが、何から手をつければいいかわからない」という状況において、screeはその最初の一手として導入しやすいソリューションです。
screeを活用した病院の実際の変化について、事例をこちらでご確認いただけます。

まとめ
タスクシフトは、看護師の専門性を活かすための重要な取り組みですが、成功させるには「目的の共有」「小さく始める」「業務の見える化」「移管先の巻き込み」という4つの実践ポイントが鍵になります。
| メリット | デメリット・リスク |
|---|---|
| 看護師が専門業務に集中できる | 役割の境界が曖昧になりやすい |
| 患者ケアの質と満足度が上がる | 移管先への教育・研修コストがかかる |
| チーム連携が活性化する | 移管先スタッフへの負荷が増す可能性がある |
| 看護師のキャリアアップにつながる | 患者からの理解が必要 |
そして、タスクシフトを仕組みとして動かすためには、現場の業務フローそのものを見直す必要があります。情報収集〜帳票作成という工程のデジタル化は、タスクシフトの効果を最も早く実感できる入口のひとつです。
「私たちの病院でも、業務改善は可能だろうか?」
「まずは何から始めればいいのか、専門家の意見が聞きたい」
そのようにお考えの病院経営者様、看護部長様へ。
メディカルギークは、業務改善ソリューションをご提供しています。
特に、看護師の声から生まれた「scree(スクリー)」は、入院時の情報収集から記録までを今よりも簡単にできるサービスです。
screeはただのITツールではありません。
- 病院の現場フローに即した、直感的なデザイン
- 病院ごとの帳票に合わせ、専門家が効率化させた個別カスタマイズ仕様
- 小児や周産期など、専門領域にも対応可能
- 看護師だけでなく他職種の記録業務も解決できる
看護師の経験を持つ担当者が貴院の課題を丁寧にヒアリングし、screeの導入がどのように貢献できるか、具体的な活用方法をご提案させていただきます。
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参考資料
- 厚生労働省「タスク・シフト/シェアの推進について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000095525_00010.html - 公益財団法人日本看護協会「2022年 病院看護実態調査」
https://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/research/97.pdf






