電子カルテ

標準型電子カルテの歴史と進化をわかりやすく解説|看護師が知っておきたい「今」と「これから」

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「電子カルテは当たり前に使っているけど、なんでこんな作りになっているんだろう」「入力項目が多くて使いにくい、でも変えられない」——医療現場でこんな疑問や不満を感じたことはありませんか?

電子カルテは、1990年代に本格的に普及が始まってから30年以上かけて進化を続けてきたシステムです。その形は、技術の発展だけでなく、医療制度・法規制・現場のニーズが複雑に絡み合いながら作られてきました。

「なぜ今の形なのか」を知ることは、電子カルテをより賢く使いこなすヒントにもなります。

本記事では、電子カルテの歴史的な変遷を整理しながら、現在進行中の標準化の動きと、看護師・医療情報担当者が押さえておきたい「これから」の方向性を解説します。

この記事がおすすめな方 
  • 電子カルテしか使ったことがなく、その成り立ちに興味がある看護師
  • 電子カルテの導入・更新・運用に関わっている医療情報担当者(情シス)
  • 標準型電子カルテへの移行に備えて背景知識を整理したい方
  • 電子カルテと周辺システムの連携について検討している管理職・担当者

医療情報のデジタル化はいつ始まったか

電子カルテの歴史を語るには、まず医療情報システム全体のデジタル化の流れを押さえる必要があります。

医療へのIT導入は1970年代に始まりました。最初に普及したのは「医事会計システム」という、診療費の計算と請求を管理するシステムです。続いて1970年代後半には臨床検査システムとオーダーエントリーシステム(医師の指示を各部署で確認できる仕組み)が登場しました。

この時点での「デジタル化」は、あくまで事務処理の効率化が目的でした。患者の医療情報そのものをデジタルで管理するという発想は、まだ現実的ではありませんでした。

1980年代〜1990年代:コンピュータの普及

1980年代に入ると、コンピュータの小型化・低価格化が急速に進み、医療現場への導入が現実的になっていきます。

この時代に登場したのが「レセプトコンピュータ(レセコン)」です。それまで手作業で作成していた診療報酬明細書(レセプト)の作成負担が大幅に軽減され、医療機関の事務効率が大きく改善されました。

さらに、CT・MRIなどの画像データをデジタルで管理・共有できる「医療用画像管理システム(PACS)」も登場し、放射線科と病棟間でのフィルムの物理的なやり取りが不要になっていきました。

1990年代に入ると、ついに「電子カルテ」が登場します。診療録・処方・検査結果を一元的にデジタル管理するシステムです。そして1999年、厚生省(現・厚生労働省)が「カルテの電子媒体による保存を認める通達」を発出したことで、電子カルテは法的にも正式に認められるものとなりました(厚生省, 1999)。

この背景には、医療の質向上とコスト削減という政策的な課題がありました。紙カルテでは医師しか読めない手書き文字が問題になったり、複数の診療科間での情報共有に時間がかかったりと、業務上の限界が顕在化していたのです。

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2000年代〜現在:電子カルテの「当たり前」ができるまで

2000年代以降、電子カルテは急速に普及していきます。厚生労働省の調査によれば、400床以上の一般病院における電子カルテ普及率は2022年時点で91.2%に達しており(厚生労働省, 2023)、大病院ではほぼ標準装備となっています。

一方で、普及とともに課題も浮き彫りになりました。

電子カルテメーカーが独自仕様で開発していたため、システム間のデータ連携が難しく、病院を転院した際に情報を引き継げない、異なるシステムを使う診療所と病院の間で情報共有ができないといった問題が各所で発生していました。

現在の電子カルテには診療・処方・検査・看護記録・画像など多くの機能が統合されていますが、その複雑さゆえに「使いにくい」「入力に時間がかかる」という声は今なお多くの現場から聞かれます。

「電子カルテが整備されているのに、入力の手間が減っていない」という現場の声

電子カルテへの情報入力には、今も多くの看護師の時間が費やされています。特に入院前の患者情報収集は、外来や病棟での口頭聴取→手入力という流れが多く、情報の抜け漏れや二重入力が発生しやすい工程です。電子カルテの機能を最大限に活かすには、入力の上流にあたる情報収集の方法そのものを見直すという視点が重要になります。

メディカルギーク株式会社が提供する入院業務支援サービス「scree(スクリー)」は、この最大のボトルネックを解決するために開発されました。screeは、看護師が新規入院患者の情報を収集し、その情報を基に作成する各種帳票を効率的に作成できるサービスです。 

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screeの主な機能は? 

  1. スマホでの事前入力機能 
    患者やご家族が、来院前に問診を自宅で入力できます。これにより、看護師の情報収集時間が大幅に削減されます。収集されたデータは構造化されて帳票作成・カルテへの連携もされるため、迅速かつ正確に記録を完成させることができます。 
  2. リピーター入力自動機能 
    一度退院した患者が再入院した場合、前回の問診データや基礎情報を参照し、自動で入力できます。反復的な情報入力の負荷を完全に排除し、再入院時の記録時間を劇的に短縮します。これは、慢性期疾患の患者が多い施設や、入退院を繰り返す急性期病院において、記録時間の短縮に最も直接的に貢献する要素です。 
  3. 自動帳票作成機能  
    収集された情報に基づき、アセスメントシートやスクリーニングシートといった必要な帳票を自動的に作成します。看護師は情報の転記や、帳票の作成にかかる時間をぐっと短縮することができます。 

screeは単なる電子カルテの補助ツールではなく、統計的に証明された看護業務のボトルネック(情報収集の負荷)を根本的に解消するためのサービスです。 

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現在:標準型電子カルテへの移行

現在、日本の電子カルテは大きな転換点を迎えています。政府が推進しているのが「標準型電子カルテ」です。

従来の電子カルテはメーカーごとに仕様が異なり、病院間・施設間でのデータ連携が難しいという問題がありました。標準型電子カルテは、医療情報の記録形式・用語・コードを統一することで、異なる医療機関間でも患者情報をシームレスに共有できる仕組みを目指しています。

厚生労働省は2030年度を目途に、全国の医療機関でのHL7 FHIRなど標準規格の普及を進める方針を示しており(厚生労働省, 2023)、医療DXの中核として位置づけられています。

標準化が進むことで期待される効果

対象変化
患者複数の医療機関にかかっても情報が一元管理される
看護師・医師転院先の情報を電子的に受け取れ、重複検査・確認の手間が減る
情シス担当者システム更新・連携のコストが下がる
地域医療病院・診療所・介護施設間の情報連携がスムーズになる
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なぜ今の電子カルテはこの形なのか

電子カルテの現在の形は、以下の3つの力が重なり合って作られてきました。

  1. 技術の進化:コンピュータの小型化・ネットワークの整備・クラウド化により、できることが広がってきた
  2. 法制度・政策の後押し:1999年のカルテ電子保存の認可、診療報酬改定による電子化の推進、医療DX政策の加速
  3. 現場のニーズへの対応:複数職種による同時閲覧・処方ミス防止・検査結果の即時確認など、現場の要望が機能として実装されてきた

言い換えれば、電子カルテは「完成品として設計されたシステム」ではなく、現場と制度と技術が30年以上かけてぶつかり合いながら作られてきた「進化の途中にあるシステム」です。

だからこそ、現場からの「使いにくい」という声は正当であり、改善の余地は常にあります。

電子カルテの「外側」から使いやすくする発想

電子カルテ本体のカスタマイズには制約が多く、メーカー対応のコストも高いのが現実です。

一方で、電子カルテに入力する前段階、つまり「情報収集の仕組み」を変えることは、病院側で比較的取り組みやすいアプローチです。

患者・家族が来院前にスマートフォンやタブレットで必要情報を入力し、その結果を電子カルテや帳票に連携させる仕組みを導入することで、看護師の入力負担を減らしながらデータの精度を高めることができます。

電子カルテの進化を待つだけでなく、周辺の仕組みから改善していく視点が、現場の変化を早める鍵になります。

まとめ

電子カルテは、1970年代の医事会計システムから始まり、50年以上かけて今の形に進化してきました。

  • 1970〜80年代:医事会計・レセコン・PACSなど事務系システムの整備
  • 1990年代:電子カルテの登場と法的認可(1999年)
  • 2000年代〜現在:大病院を中心に普及、機能の統合・複雑化が進む
  • 現在進行中:標準型電子カルテへの移行と医療DXの加速

電子カルテは「完成品」ではなく、現在も進化の途中にあります。その歴史を知ることで、「なぜこの機能があるのか」「なぜ使いにくいのか」という現場の疑問への答えが見えてきます。

そして重要なのは、電子カルテ本体の改善を待つだけでなく、情報収集・入力の上流を整えることで、今の電子カルテをより効果的に活用できる環境を自分たちで作れるという視点を持つことです。

screeは、情報収集の自動化、リピーターのデータ再利用、および自動帳票作成機能を通じて、初期の記録負荷を最小化します。これにより、初期アセスメントの質が向上するだけでなく、その後の経過記録(SOAPなど)がスムーズになります。

結果として、看護師は情報収集や転記作業から解放され、情報共有や申し送りの効率も向上します。 看護師が患者・家族に寄り添うケアを実現するために、メディカルギークの「scree」の導入をぜひご検討ください。 

参考

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